インタビュー 選挙戦を終えて、民主党交野市議、吉坂康彦氏に聞く 動する「政治の時代」へ、日本は変わるのか
8月の総選挙は、自民党の有力議員が次々と敗れ、公明党は代表も幹事長も落選し、民主党の圧勝に終わった。自公政権がやっと終わり、新たに民主党政権が生まれようとしている。
民主党が圧勝した要因はいくつもある。何よりも自公政権下での社会の閉塞感と生活苦に対する有権者の激しい怒りだった。鳩山氏は「日本の憲政史上初めて勇気を持って政権選択を選んでいただいた」と述べたが、有権者は単に「政権交代」を望んだのではない。鳩山氏の言う「古い政治から新しい政治への転換」「明治維新以来の官僚政治の打破」という政治の変化を熱望しているからこそ民主党を選んだ。それは、「民主党政権に期待する」76%という数字に、高い投票率に顕著に現れている。
それはまた突然に降って沸いたような民意の変化でもない。前回の衆院選では多くの有権者が小泉自民党に投票したが、それは「自民党をぶっつぶす」と言った小泉に、多くの人が「改革」を期待したからだ。民主党圧勝の底流にあるこの民意を忘れてはならないと思う。
しかし民主党がこれから日本の政治を大きく変えていこうとするなら、いくつもの高いハードルを越えていかねばならない。「明治維新以来の官僚政治から国民主導の政治への転換」には、国内官僚や利権団体の強い抵抗があるだろう。
とりわけ鳩山氏の唱える対米従属から「対等な対米関係」の構築、「東アジア共同体」の創設とアジア外交の重視、沖縄米軍基地の縮小や日米地位協定の改正などなど、これまで誰も着手できなかった困難な課題群である。
内圧、外圧を超えてこれらの課題をどう解決していくのか。そのためには「国民自らが政治に参画する勇気を持っていただきたい」と鳩山氏は述べたが、国民の参画と支持なしには不可能だ。
鳩山民主党が掲げた選挙戦のキーワードは「革命」だった。もし民主党が本気でこれらの課題に取り組むなら、多くの国民は支持を惜しまないのではなかろうか。そのためには民主党が有権者の魂を揺り動かすような理念やビジョンをどれだけ提示することができるのか。民主党の未来は、日本の未来もそこにかかっている。
■新しい政治を望んだ国民の勝利
注目の第45回衆院選挙は、民主党が308もの議席を獲得して勝利した。
その圧勝ぶりは、開票直後から当選者のほとんど全てが民主党ではないかと思わせるほどの勢いだった。小選挙区では、民主221に対し自民は64と圧倒的な差であり、とりわけ名もない民主党の新人が現政権の「大物」と接戦を演じ続々と当選を勝ち取っていった光景は圧巻だった。
この空前の勝利をどう見るか。
鳩山民主党代表は 民主圧勝の結果を受けての記者会見で、これだけの支持を寄せてくれた国民に感謝しながら、「単なる民主党の勝利とは思っていない。暮らしが大変苦しくなっている今の政治への怒りが民主党への期待感に結びついた。謙虚に国民の方向を向いた新しい政治を作りあげていく」と述べた。自民党の石破氏も「民主党の勝利ではなく、自民党の敗北だ」と述べていた。
これは、どういうことか?
歴代自民党政権による新自由主義の「構造改革路線」によって、国民生活は物質的にも精神的にも破壊されてきた。とりわけ、米国発の金融危機が日本を直撃し、国民生活がいっそう厳しくなっているのに、反省の言葉一つなく、場当たり的な対策しか出せないでいる現政権に対する国民の怒りが政権交代という一点に集中したということである。都議選の時も、政権交代が焦点になったが、今回の総選挙で、国民は、それを現実のものとしたということである。
■なぜ、国民の勝利だと言えるのか
この勝利は、鳩山代表も言うように、単なる民主党の勝利ではなく、国民の勝利であった。
なぜ、そう言えるのか?
それは第一に、投票率が高かったことに表れている。
今回の総選挙は、国民の高い関心の中で行われた。世論調査でも関心があると答えた人は90%に及び、小泉旋風を巻き起こした前回の選挙よりも高い69・28%という高い投票率だった。
これまで各種選挙で投票率が低かったのは、「どうせ何も変わらない」という諦め感が国民にあったからだ。しかし今回は違った。国民は、「どうせ変わらない」では済まされないほど追いつめられていたのだ。この切迫した国民の思いが、政権交代を実現したのであり、まさに国民の勝利であった。
第二は、政策ではなく、政権交代が投票の基準であったことに現れている。
選挙後の世論調査によれば、民主党の大勝は「政権交代を望んだからだと思うか」という質問に実に81%の人が、そう思うと答え、「民主党の政策を支持したからと思うか」という質問に、そう思うと答えた人は38%で、そう思わないと答えた人は52%に上っている。
実際、民主党のマニフェストについては、多くの人が、財源的に可能だろうかなどと疑問を抱いているし、「高速道路料金を無料化して道路建設の借金は税金で返済する」としていることに65%の人が反対するなど、色々と批判も多い。
すなわち、国民は民主党の政策を支持して投票したのではなく、政権交代を実現するために投票したということなのだ。
第三は、自民党支持層や無党派層が民主党に投票したことだ。
今回の選挙では、出口調査によると、自民支持層の23%が民主党に投票した。また21%を占めた「支持政党なし層」で自民に投票した人が17%だったのに対し民主に投票した人は52%に及んだ。元来、民主党を支持していない人までが民主党に投票したということ、ここに「単なる民主党の勝利」ではない根拠があるのではないだろうか。
第四にしがらみのない新人が多数立候補し当選したということだ。
今回の総選挙では、民主党は、若い人、女性の新人が多数立候補し当選した。それは、民主党当選者の46%に及ぶ。これはもはや、旧来の民主党ではない。新しい政治を望む国民の意思と要求が民主党を勝たせた、これが真相ではないだろうか。
■国民の望む新しい政治とは?
では、国民が望む新しい政治とはどういうものだろうか?
鳩山代表は、「国民の方向を向いた新しい政治」と述べた。ここで問題となるのは、では、これまでの政治はどこを向いていたのかということである。
自民党政治は、どこを向いて行われていたのか。それは何よりも、米国の方を向いていたと言えるのではないだろうか。
今、国民の一番の関心事は、生活問題だ。地方の疲弊、不安定雇用の増大、格差の拡大、医療、教育の破壊、社会保障の減少などなど。とりわけ、米国発の金融危機が日本にも波及し、国民生活を直撃する中で、生活問題は切迫した問題である。
こうした問題が、「小泉改革」という言葉に象徴される「構造改革路線」の結果であることは誰もが指摘することだ。問題は、その「構造改革路線」が米国の要求に基づくものだったということだ。1991年に始まった日米構造協議以来、米国は「年次改革要望書」などで、「改革」課題を提起し、その遂行状況を点検し督促してきた。郵政民営化もそこで明示されたものだ。一方、この過程は、軍事外交面では米軍再編・安保再定義による、米国軍事戦略へのいっそうの協力・加担として進んだ。
国民の多くが反対する9条を改憲し、海外での米軍との共同軍事行動を拡大しようとするのも、格差の拡大、農業の疲弊、地方の崩壊、不安定雇用の増大などなど、分っていながら改革を進め、「改革継続」の旗を降ろそうとしないのも、自民党政治が米国にばかり目を向け、国民の方を向いていなかったからに他ならない。
事実、国民の方向を向いた政治を実現しようとしたとき、一番問題となるのは、「米国」だ。
今、米国では、鳩山氏がニューヨーク・タイムズ(電子版)で、米国主導のグローバリズムの終末を予告し、「国家目標としては東アジア共同体創設を志向する」と述べたことが注目され、「鳩山は反米主義者か?」などと取りざたされているという。
選挙後、ワシントン・ポストは、鳩山代表を「アジアに軸足を置く外交政策を模索しようとしている」「米国をしばしば市場原理主義だと批判してきた」などと指摘しながら、「米国との決別を模索するのであれば、あまりに危険だ」という記事を載せた。
■新しい政治のために
今、新政権への期待と支持は大きい。世論調査でも「新政権に期待する」と答えた人は74%にも達している。政党別支持率では、民主党支持は39%だから、その期待は党派を超えた国民的なものだと言える。
そうした中、民主党には多くのメールや手紙が寄せられている。その多くは、励ましと期待であり、その中には、「そう簡単にはいかないでしょうが、見守っていくので、新しい政治を共に作っていきましょう」「大変なことは分っている。できないならできないと言ってくれ、それを隠したりすることだけはやめてくれ、できないからと責めたりしない」などというものもあった。
この言葉には、新しい政権を見守り、大事に育てたいという国民の温かい眼差しを感じるし、この政権は自分たちが作った政権であり、新しい政治を共に作っていこうという主体的な意思を感じる。
確かに民主党が打ち出したマニフェストは、財源一つとっても、それを実現していくのは大変なことだ、しかし、そのことは国民も分っている。その上で、簡単ではないでしょうが、見守る、共にやっていこうと言っている。
そして、何よりも「米国」だ。米国の路線、戦略に合わない政策、方針に対しては、様々な脅しや圧力もあるだろう。しかし、国民の方向を向き、総選挙で発揮された国民の巨大な力に依拠し、国民に相談し、国民と共に進めば、それに屈することなく国民の方向を向いた政治を貫徹していくことができるのではないだろうか。
「国民主体の政治」は、新しい政治の目標であると同時に、その実現のカギだ。本当の力は、国民にこそある。それを今回の総選挙は教えてくれたのではないだろうか。
鳩山新政権は、国民の方向を向き、国民と共に新しい政治を作ることで、今回の総選挙で示された国民の期待にしっかり応えて欲しいものである。
研究
日本にとって朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は隣国として密接な関係にあり、かつ植民地支配の清算問題が戦後64年間も放置され、朝鮮との関係を正常化することは、日本にとって他の国との関係以上に切実な問題である。しかし「日朝平壌宣言」からの7年間をみても、そのめざす国交正常化とはうらはらに、日朝関係は緊張と対立激化の一途を辿ってきた。
今日、朝鮮はクリントン元大統領の訪朝、金大中元大統領葬儀弔問団派遣をつうじてアメリカ、韓国との対話のチャンネルを開いている。しかし、日朝間は依然として敵対関係のままで、対朝鮮政策は行き詰まったままである。
■何が問題なのか
日朝関係が悪化の一途を辿ってきた原因は何か。 日本にしてみれば、拉致やミサイル、核に対し「許せない」という声が起こるのも当然のことかもしれない。しかし、「許せない」、「制裁だ」といっても、何も解決できてこなかったばかりか、むしろ事態を悪化させてきたのも事実である。ミサイル迎撃や基地攻撃論まで論議され、全面的な輸出入禁止の制裁を科すまでに到っている。
事態は人工衛星打ち上げをめぐってこじれたが、大国が「人工衛星でもミサイルでもミサイルに変わりはない。朝鮮のミサイル打ち上げは許せない」として、国連安保理の議長声明で非難し、それに対して、朝鮮は国連安保理に謝罪を要求、核実験を実行した。
さらに国連安保理は、船舶検査などの制裁を打ち出し、ここでアメリカと一体となって制裁を声高く叫んだのが日本である。
これらに対し朝鮮は、もし船舶検査をするなら自衛措置をとると声明で明らかにしている。このように圧力はさらなる緊張の激化を生み出し、なんの問題解決にもなっていない。
なぜ事態は悪化の一途をたどっているのか? それは日本政府が「対話と圧力」を掲げつつ、圧力一辺倒の姿勢できたところにあるのではないだろうか。
圧力や制裁を加えて相手国に言うことをきかせようというのは、力で屈服を強いる覇権主義そのものである。それは、相手国を尊重せず、その自主的な意思と政策を自分の都合のよいように、力で変更させようというものであり、どの国にとっても受け入れがたい恥辱である。圧力を受けた国と国民が日本に対して好感情を抱くことはありえず、関係悪化はさけられない。
たとえ相手国がそうした圧力を受け入れたとしても、その恨みは深く国民に残るようになる。そのことは戦前の朝鮮に対する植民地支配の歴史がはっきりと示している。
朝鮮は国連安保理が謝罪しなければ、核実験とミサイル発射を行うと表明し、実行に移した。これについては、「後継者問題」とか、「米朝協議をひきだすため」「金をひきだすため」の「瀬戸際戦術」だとか言われている。こうした発想も、圧力と金でしか政治を考えることができない覇権主義的な考え方の表れである。
小国だからとしてないがしろにする態度も覇権主義である。人と人が平等でたがいに尊重されるべきなら、国と国との関係もそうである。どの国にも尊厳ある独立国として自主的に生きる権利がある。大国にはへつらい小国はないがしろにしても構わないというのでは、国家関係が悪くなるのは当然である。
とりわけ大国は核を保有してもよく小国はだめだとするのは、国に上下があり、小国は大国の核の脅威の下で黙って生きてゆけというまさに覇権主義そのものである。
大国よりも小国を尊重し、かつて植民地として被害を与えた国であればなおさら尊重してこそ、対話の道も開けるのではないだろうか。
偏見と中傷も相手を見下す覇権主義的な見方である。私たちは自分の尺度で相手国のことを良い悪いと評価することがあるが、そうすれば必ず偏見に陥ってしまう。相手国のことはどこまでも相手国の国民が判断する問題であり、相手国の考えと基準、実情を理解していかなければならない。
たとえば朝鮮の制度に対し、「軍事優先の国で軍事力を削減すべき」(安倍元首相)とか、ひいては「民主化」という名のもとに政権転覆まで云々されているが、各国ごとに政治制度は異なる。それに対し「制度を変えるべき」とかあれこれ言えば、それはその国と人民に対する傲慢な干渉と中傷にしかならない。
以上、見てきたように、覇権主義的な考え方に日朝関係を悪化させてきた思想的原因があると思う。
■圧力が通じるというのは時代錯誤の誤算
日本は朝鮮に対し圧力で言うことをきかせようという覇権主義を、明治の江華島事件以来、乙巳条約、日韓併合と数多くおこなってきた。
しかし、朝鮮をはじめとするアジア諸国人民の民族解放闘争、世界的な反ファシズム闘争により軍国主義、植民地主義は結局、破綻せざるをえなかった。
戦後、日本政府はアメリカの朝鮮敵視政策に追随し、朝鮮に対し国交を開かず、経済的封鎖状態におくなどの圧力をかけつづけてきたが、一度として朝鮮がその圧力に屈したことはなく、そのなかでむしろいっそう国を政治軍事経済的に強化してきている。
日本はよく金をばらまき新興国の支持をとりつけたり、内政に干渉するという例に欠かないが、そうすることによって日本がそれらの国との友好関係を強化しえたのだろうか。
多くの新興国は軍事的圧力やひも付き援助に屈せず、自分たちの地域共同体を形成し、自力で自国の運命を拓いていっている。アメリカのキューバ孤立政策が破綻し、米州機構復帰を要請したがキューバはこれを拒否し、新たな反覇権の中南米機構を強化していっている。各国の自主権を尊重していくもう一つの国際社会が力強く形成されており、覇権主義に反対し、各国が主権を守り、自らの道をすすむのは時代のすう勢であるといえよう。
朝鮮の「自衛的」措置は非同盟会議でも支持を受けており、たとえ「国連」の名であろうといかなる覇権主義も通じなくなっているのが、今日の世界の実相である。それが通じると誤算し、アメリカにすがって圧力にしがみついているのが、今までの日本政府の姿である。
■覇権主義的な考え方を改めよう
日朝の敵対的関係を友好関係に転換させるためには、まず日本政府自らがこれまでの覇権主義的な考え方を改め、主導的に行き詰った日朝関係打開に動くことが大切だと思う。
ここでもっとも重要なことは、朝鮮の主権を認め尊重することである。覇権主義とは支配主義ということができる。他国を支配し干渉しようとするのではなく、相手国の主権を尊重していくことが国家関係の出発点となる。
国家主権を尊重するとは、制度や思想が異なる相手国を尊重し、対話と交流を促進し、互いに理解を深め信頼関係を築いていくことである。それぞれの国には異なった歴史と実情があり、制度と思想が日本と違うのは当然のことである。それにたいし、相手国を自分の基準で偏見をもってみたり中傷するのではなく、違いを前提にして相手国の立場をよく理解していくことである。
また、共通の問題、事業を共同の力で解決、推進していくことである。東アジア平和地帯・非核地帯形成、東アジア共同体の強化は、共同の平和と繁栄をはかるための課題である。それに協力と連携を強化していくことが、日朝関係を大きく発展させることになる。
そして、反覇権の時代の潮流に合流し、自主、平和、親善の原則にたって考えていくことである。
アメリカをはじめとする覇権的な国際秩序が通用しなくなり、各国の自主権を尊重し平和で親善的な新しい国際関係が生まれている。この潮流に合流していかなければ、朝鮮がなぜ圧力に屈せず崩壊もしないのか理解できないであろう。
覇権主義的な考え方を改め、朝鮮との友好関係を確立するというのは、新しい時代にそって日本の道を拓いていけるかどうかの問題でもある。圧力で相手国にいうことをきかせようという覇権主義的な考え方を改めること、これが日朝関係を改善する第一歩になるであろう。
日本では新しい政治が幕を開けようとしている。鳩山民主党は東アジア共同体の創設などこれまでの自民党とは違った新しいアジア外交を提起している。これまでの圧力中心の政策を転換し、対話へと舵を切る絶好の機会になることを望みたいと思う。
インタビュー 選挙戦を終えて、民主党交野市議、吉坂康彦氏に聞く
民主党が圧勝した今回の衆議院選挙。8月30日の選挙報道には表れない地方、地域レベルでの実際の選挙戦はどうだったのか。大阪11区で5期目の当選を果たした民主党平野博文氏(次期官房長官内定)の選挙戦を最前線で担ってきた交野市議、吉坂泰彦さんにお話を伺った。
―今回の選挙で民主党は圧勝しましたが、現場で激しい選挙戦を戦われ、民主党勝利の要因は何だったと思いますか
第一は、ここ10年の小泉改革の悪政でしょうね。その中心は構造改革路線、とりわけ市場原理主義、グローバリズム、これが国民の厳しい批判を浴びたということ。二つ目は自民党が内政をきっちりフォローできなかったこと。特に福祉の面でできなかった。象徴的なのが年金制度であり、子育て支援です。そして民主党のこの4年間の恨みを晴らすという気構えが自民党、公明党を圧倒していた。それが自民党の失策と絡めてあったと思う。
―小泉構造改革路線と地方の疲弊はやはり結びついていると思いますか
交野でも商店も工場もつぶれています。産院は三つあったのが一つになった。構造改革では中小企業は必要ないとして大企業中心の政策や税制へシフトしましたから。終身雇用から非正規雇用への労働政策の転換もそうです。それが地方経済を疲弊させました。
―選挙戦での手ごたえはどうでしたか
民主党はマニフェストをきちんと出して、そのマニフェストにそって有権者に訴えてきました。マニフェストにはすごく反応がありましたね。選挙前は配れないという法律上の制約がありました。わざわざ事務所までもらいに来ないと配れない、そういう規制があってしんどかったけれどみな欲しがった。それだけ民主党の政策は注目されていたと思ますね。
―一番注目された政策は何でしたか
やはり「子育て支援」だった思いますね。そして官僚政治打破ということにも関心がありました。とりわけその象徴が「年金問題」で、やっぱり「年金問題」には国民の怒りを感じました。長野県田中知事の脱ダム政策などありましたが、国政の無駄の廃止にも強い関心が集まりましたね。
―若者はどうでしたか。フリーターとか非正規労働者とか、民主党への期待、要求は感じられましたか
若者は、ビラを受け取らないね。関心が低い。民主という新しい政権が生まれるとなっても関心が低い。結婚していて子供があるというような層が今回は関心が高かったように感じました。正社員として仕事していて、年金をもらえるような人たちですね。20代の人は関心が低くかった。
―平野さんは大阪11区ということですが、この地域に対する選挙公約みたいなものはあったのですか
この地区独自の要求というのはないですね。第二京阪道路建設問題とかはあるけれども、この地域で特別に何かを作るということはない。道路を作るとか、新幹線の駅を作るとか、そういう自民党の利益誘導型政治と民主党政治は根本から違いますから。演説の中心はやはり政権交代とマニフェスト、それに対する支持を訴えるのが基本です。
―国の政策を競うというマニフェスト選挙ですが、それを全国300の小選挙区制で議席を争うという仕組みは合っているのですか
当初は小選挙区制度には反対でしたね。はやり小選挙区制というのは大政党に有利で少数者の意見は反映されないし、大量の死票が出ますから。これから問題となる比例区の定数是正も問題があるでしょう。社民党との協議の中でそれがどうなるか。次の総選挙まではそれはしないとなっている。180の定数を一挙に100にすると、共産党も社民党もなくなる可能性がある。今回、社民党は小選挙区で3人通ったけれど民主党の選挙協力のおかげだった。辻元さんもそうです。優先順位がありますし、国民の要求が高い順番にやると民主党はいっているわけですから、すぐとはならないでしょうけれども。
―今回の選挙戦やって有権者の声で印象深いものはありましたか
「自公はあかん」という声が圧倒的でしたね。創価学会の人が公明党から離れていった、これはこれまでなかったことですね。それは公明党が自民党とくっついてろくな政治をやらなかった、だから有権者から見放された、ということです。公明党は地方ではまじめに活動をやってきた。その実績もあるけれども、国政レベルでは「自民党と一緒やんか」という話になる。この自公十年の「負の実績」が今回は問われた。創価学会は自公連立を考え直すんじゃないかと思いますね。
―橋下大阪府知事が地方主権ということを盛んにおっしゃっていましたが、今回は地方主権というのは選挙のテーマになりましたか
テーマにはなりましたよ。例えば交野で問題になっているのがパチンコ出店問題です。交野市では地方条例でパチンコの出店を規制しています。駅前の住宅地にパチンコ店を作るという業者に対して市が規制をかけてやめさせようという話なんだけれども、大阪府も国もパチンコの出店を認めていて、業者は府も認めているのになぜ交野市は規制するのかといって裁判をやっています。橋下知事がいくら地方主権を言ったって、それは大阪主権であって、交野主権ではない。橋下知事は「パチンコ屋にはパチンコ屋の主権がありますからね」といったわけですよ。ちょっと待ってくれ、大阪府と交野市とは地域が違うやろ。彼の言う「地方分権」とは「偽者」だと僕らは言っているわけですよ。橋下氏のいう地方分権は府の権限を増やすだけのもので、各市町村の権限を増やすものではない。道州制は賛成です。だけど関西州の中で大阪が中心になって大阪の橋下知事が関西州を牛耳る、こういう発想でやっている。今回の地方主権についてもわれわれは市町村に権限を与えよと、市町村にあった地方分権制度をという要求です。
―今回民主党政権になった場合、地方分権制度は動きそうですか
動くでしょう。全国知事会でも要求していたように、動くでしょう。
―この一年、中央政界も地方政界も激動する
動きますね。面白いですね。自公政権で改革、改革といいながら何も動かなかったものが堰を切ったように激動の時代を向かえるでしょう。
―民主党政権ができて保守派とリベラルとの一定の勢力図が明確になった感じがありますね
それはあるでしょう。自民党は保守という旗印を鮮明にしていく。石原も小池も「自民党は保守を忘れたから負けた」といっているし、保守を掲げるしかない。民主党は政策やイデオロギーでは幅が広くて自民党へ行く人もあるだろうし、政界の再編もありうるだろうと思いますね。鳩山のおじいさん(鳩山一郎)は日ソ国交回復を行った。鳩山さんや小沢さんは自民党の経政会で日中国交回復を行った。近隣諸国との外交でもやはり東アジア共同体への積極的な参与や「対等な日米関係」を言っている。それに対してアメリカはけん制している。
―鳩山政権はどこまで踏み込めるのか。アメリカとの対等な関係とか東アジア共同体とかやろうとすれば米国も黙っていないだろうし、官僚の抵抗もあるだろう。その中でどこまでできるのかという疑問があります。
日本は地理的には核保有国に囲まれています。日本だけがアメリカの核の傘で守られている中で、日本が米国の核の傘からはずれることが可能なのか。「思いやり予算」を削ることができるのか。米軍再編で沖縄の基地縮小はどうするのか。来年1月15に期限が切れるインド洋での給油活動は延長しないのか、それとも継続するのか。まず最初にこの問題が問われてくるはずです。民主党の政権が持つかどうかはここで決まるでしょうね。「子育て支援」などは予算さえつけば問題なくすぐ着手できるスケジュールの問題にすぎない。しかし、「対等な日米関係」はそう簡単ではない。これまでのアメリカに歯向かえばつぶされるという自民党の歴史がある。例えば田中や金丸のように。
―民主党政権で変わるとしたら、何が一番変わるのでしょうか
中間団体がなくなる。これまでお金が中間団体にながれて、そこから配っていたのがなくなる。これからは直接国民にお金が行く形になる。例えば子育て支援とか、農家への個別所得保障のように。これで役人の天下り先をなくす。まずはそこから変わっていくでしょうね。
―ぜひ日本を変えて欲しいものです。有難うございました。
■鳩山民主党代表、「米主導のグローバル化戦略の終末」を予告
日米安保条約が「日本の外交政策の礎石」としながらも一方、国家的目標としては東アジア共同体創設を志向する意向を表示。
日本は米主導の市場原理主義の嵐に巻き込まれた、規制の難しい市場原理主義をいかに終わらせるかが問題だとしながら、自分の持論について、「グローバリズムという資本主義の行程を調整し、伝統的に発展してきた地域経済を助長するのが原則だ」と説明。
東アジア共同体の創設が「友愛的な考えからくる国家的目標」だと規定し、「地域統合と地域集団安全保障を志向することが憲法の平和主義と国際協力を実現する道」だと強調。
■韓国の衛星発射失敗への米言論の迅速な反応
ニューヨーク・タイムズは25日、韓国の宇宙開発計画過程について、近隣の中国、日本、北朝鮮が衛星発射計画を推進している中で、韓国も宇宙ロケット開発プログラムを推進してきたが、東アジアの兵器開発競争誘発を警戒する米国が支援しないため、韓国はロシアと手を組んだのだと伝えた。
同紙はまた、しかし韓国は北朝鮮とは異なり長距離ミサイル技術の開発、拡散を防止するため、国際的取り決めの範囲内で宇宙開発計画の透明性を保障してきたと報道。
■ロケット発射失敗はソウルには不快な出来事
韓国は1992年から今日まで11基の衛星を軌道に侵入させたが、これらはすべて他国領土から発射された他国の運搬ロケットによるものだった。一方、近隣の中国、日本そして(重要には)朝鮮民主主義人民共和国はすでに世界宇宙クラブに加入した。まさにピョンヤンの積極姿勢がソウルの最大の不安を呼んでいる。専門家の見解によれば、韓国は将来、自前の宇宙偵察体系を確立し米国に依存することなしに予測不可能な北朝鮮の活動に対する情報を常時、得ようとしている。
今回の失敗でこの計画が無期限延長となった。
■北朝鮮が中国遼寧省丹東市に領事館支部開設
丹東市は朝中貿易の約70%が集中する朝中国境の拠点都市である。
これによって朝中間の貿易と人的往来の拡大を促進する体系が備えられた。
■ピョンヤンの新しい変化を体験
以下は、ピョンヤン駐在特派員のレポート。
「前に来たときよりすごく変わった」。これは最近、朝鮮の首都ピョンヤンに来た友人の言葉だ。
すべての主要道路交差点に新しい形式の交通安全員の指揮台ができた。美人の女性交通安全員の立つ白の円形壇上にゆるいカーブを描く銀色の支柱、その上に大きなブルーの日よけ傘、これが道行く人に映る最近の新鮮なピョンヤン風景だ。
ピョンヤン市では最近、都市建設が大々的に行われている。車で市内を行けば、あちこちに建設中のアパートが目に付き、新しい住宅街はモダンなセンスにあふれ、道路沿いの従来のアパートも外装が新しく施されて街の変化を印象づけている。
ピョンヤン市の象徴的建築である105階の柳京ホテルの外装も整い、特殊ガラスで覆われた壁面が夏の陽を受け銀色の光を放つ様は壮観だ。
このように目に付く変化ばかりではない。最近、できたファーストフード店、イタリアン・レストラン、そしておしゃれな店も増えた。少なからぬ若い女性たちのファッショナブルさも目をひく。
商店の接客態度にも変化が見られる。店に入ると販売の女性が寄ってくる。「何をお探しですか」と声をかけ、「カラーシャツを」と言えば安くて品質の良い商品を勧めてくれたりもする。大きな商店はすべて国営だが前にない変わりようだ。商店間のサービス競争意識も高まったのだろう。
携帯電話の猛スピードの普及で通信センターはこれを買い求める客で大にぎわいの盛況だ。今年始まってすでに数万名に利用が広がり、歩きながら携帯で話す人はもう珍しい風景ではない。
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