研究誌 「アジア新時代と日本」

第235号 2023/1/10



■ ■ 目 次 ■ ■

編集部より

視点 新年、日本の大転換をめぐって

闘いの現場から 大阪カジノ阻止のたたかいは続く

随想 今年の元旦は◎!

詩 滅びへの道

年賀状より




 

編集部より

小川淳


 アメリカのシナリオで進む戦後政治の大転換
 2023年が明けたが、「新たな戦前」への予感に満ちた新年となった。
 岸田政権は12月16日、安保関連3文書を閣議決定した。「防衛力整備計画」では、今後5年間で軍事費を総額43兆円へ、27年度にGDP比2%へ倍増させるという。同時に「敵基地攻撃能力」を保有し、中国とロシア、朝鮮民主主義人民共和国を「最大の脅威・懸念」と「国家安全保障戦略」に明記している。これによって、「台湾有事」を想定したアメリカの望む「対中戦争体制」はほぼ整えられたのではないか。岸田は今月訪米し、バイデンに会ってそのことを「成果」として報告するはずだ。「米対中ロ新冷戦」下で、アメリカのシナリオ通りに日本(岸田)が動いているのは明らかだ。
 また岸田政権は、12月22日には新たに原発推進へと大きく舵を切った。東日本大震災で世界最悪の原発事故を起こし、原発の再稼働は最小限に限定し、原発の新規増設はしない、いわば「脱原発」というのが国民との合意であり基本政策だったはずだ。ところがウクライナ戦争・燃料危機を口実に、再稼働から増設へと180度転換させた。安保関連3文書も含めて、これほどの大転換にもかかわらず、岸田政権は一度も国会に審議することもなく民意を問うこともなかった。ウクライナ戦争を機に、岸田政権はフリーハンドを得た如くである。
 一方、社会に目を転じれば、円安で食品、エネルギー、生活用品など軒並み高騰し、賃金も、先進国の中で日本だけが最低の水準にとどまったままだ。この大軍拡と増税、インフレと生活苦、アジアへの排外主義と敵視を並べると、あの1930年代の暗い時代を髣髴とさせるのではないか。それがいまの日本の姿だ。
 アジア侵略と悲惨な戦争を体験した日本は戦後、戦争の放棄、戦力の不保持を明記した憲法9条を核に、「専守防衛」を一つの国是、国家としての出発点としてきた。そこには歴史の重みをきちんと受け止めようという国民の強い意思が込められている。どの国にも歴史の重みというものがあり、やすやすと消し去るものではないし、そうしてはいけないものの一つだ。1945年8月15日も、2011年3月11日も忘れてはならない。
 「米対中ロ新冷戦」下で、国民主権や民主主義さえことごとく踏みにじられていることに気づく。このまま岸田政権の専横独断を許せば、日本は「戦後史の質的転換点」を迎えるのは間違いないだろう。それを許してはならない。
 米「新冷戦」のウクライナの次の舞台は台湾だが、言うまでもなく安保3文書の採択はその布石であり、日本は明らかに戦場になる。戦争か、平和か。この覇権主義の亡霊がさまよう混迷の時代に指針となる、そのような紙面に一歩でも近づくようにしたいと思う。



視点

新年、日本の大転換をめぐって

編集部


 旧年は、内外ともに予測を超えた事変が折り重なった大変な年だった。新年、2023年、日本の命運に関わるこれら事変は、どう展開、発展していくのか。それに対する主体的な闘いが問われている。

1 生まれた自国第一の新しい波

 激動の2022年、その中心にあったのは、言うまでもない、ウクライナ戦争だ。
 誰も予期しなかったこの戦争が世界にもたらしたものは大きい。中でも特筆すべきは、自国第一の新しい波の誕生だったのではないだろうか。

■ウクライナ戦争の本質を問う
 ウクライナ戦争についてはいろいろ言われている。誰もがまず思うのは、プーチン・ロシアによるウクライナに対する侵略戦争だ。だが、少し見ていくと、どうも様子がおかしい。ウクライナの背後には明らかに米英がいる。武器を後ろから供与して、戦争をウクライナにやらせている。しかも、その関係は戦争が始まる前から続いていた。
 ウクライナをNATOに加盟させる動き、ウクライナ軍に対する米英軍事顧問団による米国式軍事訓練と米国製兵器の大量供与、東部ウクライナのロシア系住民に対するネオナチ的弾圧など、プーチン・ロシアがウクライナへの「特別軍事作戦」を開始するに当たって掲げたウクライナの「中立化」「非武装化」「非ナチス化」のスローガンにそれはぴたりと反映されている。
 そこで想起されるのが2017年、米国家安全保障会議で中国とロシアを「現状を変更する修正主義国」と規定した事実だ。その後、2019年、同じトランプ政権下、中国に対しては、「新冷戦」が公々然と宣布され、ロシアに対しては、対ロシア対決のウクライナ政権としてゼレンスキー政権が押し立てられた。
 この陽と陰、二正面作戦を避けて開始された米国による覇権回復戦略、「米対中ロ新冷戦」に対する先制攻撃こそがプーチン・ロシアによる「特別軍事作戦」、ウクライナ戦争だったのではないか。

■押し戻された米英覇権反動の波
 プーチン・ロシアによる「先制攻撃」に対し、米英覇権側はどうだったか。もちろん、彼らがそれを予知していなかったわけはない。それどころか、「攻撃」の何日か前、米側第一人者、イーロン・マスクは、ゼレンスキーの第一側近、フェドロフを米国に呼び寄せ、小型人工衛星と「ジャベリン」や「スティンガー」「サムライ・ドローン」の連結でロシア軍を撃滅する「スターリンク」の供与など、戦争の全面的支援を約束していた。
 しかし、その米英覇権の側としても、本当にプーチンが戦争に踏み切ってくるか否か、半信半疑だったのではないだろか。プーチンが踏み切ったのは、そうした中でだったのではないかと思う。
 これに対する米英覇権の対応は迅速かつ戦慄的なものだった。国連におけるロシアに対する非難と制裁の決議。それと一体に、SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシア大手7銀行の閉め出しとそれにともなうロシア経済そのものの国際市場からの排除追放。そしてウクライナ軍に対するその背後からの先述した衛星インターネットサービス、「スターリンク」の供与など全面的な最新米国製武器による支援。さらに、世界最先端の米英情報網・メディアを総動員しての立体的情報戦、対ロシア非難の嵐。
 だが、対するプーチンにとっても、それは想定内だったのではないかと思う。おびえるオリガルヒ(新興財閥)を説得する一方、世界市場の何割かを占めるロシアの原油、ガス、穀物、肥料などを武器に、中国をはじめ世界に広がる非米諸国を中心に、制裁で物価高騰など危機に陥り動揺する独仏など欧州諸国まで巻き込んで、もう一つの国際市場を米英市場を上回る規模で形成し対抗したこと。また、例の「スターリンク」、すなわち、数千基の小型人工衛星と個人操作の対戦車ミサイル「ジャベリン」で武装した無数のウクライナ市民をインターネットで連結・リンクし、その市民の海の中でロシア軍を包囲殲滅するという「新しい型の戦争」に対しては、部隊として組織されてもいない孤立した市民個人、「インターネットアーミイ」を一人一人殲滅し、彼らが戦闘意思自体を持てなくするとともに、ロシア国民に対しては米英覇権に立ち向かう愛国心の高揚を図ったこと。そして何より、制裁やウクライナ支援による物価高騰や財政難に反対する自国第一の新しい波がフランスやイタリアをはじめ欧州など世界的範囲で起こり、幾つかの国では、イタリアやスウェーデンなどそれが政権交代にまで発展したこと。
 米国が引き起こした米覇権回復戦略、「米対中ロ新冷戦」に対するプーチン・ロシアによる「先制攻撃」、ウクライナ戦争は、それに対する米英覇権の側の制裁、反撃との闘争を通じて経済でも軍事、政治でも「自国第一の新しい波」を生み出したのではないだろうか。
 かつて米覇権によるグローバリズムとの闘いを通して生まれ、グローバリズムをその破綻に追い込んだ「自国第一の波」が、今、米英覇権との闘いであるウクライナ戦争を通して「自国第一の新しい波」として蘇り、米英覇権の覇権回復戦略、「米対中ロ新冷戦」の破綻を切り開いていっている。こうして見た時、「新冷戦」への「先制攻撃」、ウクライナ戦争自体が「自国第一の新しい波」だったと言うことができるのではないか。
 その「新しい波」が、今、米英覇権反動の波を押し戻しているのが、ウクライナ戦争、「米英対中ロ新冷戦」の現況なのではないだろうか。

■日本でも広がる「新しい波」
 2022年、ウクライナ戦争を通して生まれた自国第一の新しい波は、日本ではその影すらも見えなかった。旧年行われた参院選をはじめ各種選挙においても、「新冷戦」が問題にされたことは一度もなかったし、まして、「自国第一」が争点にされることなど絶えてなかった。
 だが、日本だけが世界から切り離されていることなどあり得ない。日本も世界とつながっており、世界で問題になっていることは、日本でもかたちを変えて問題になっている。
 事実、物価高騰や財政難は洋の東西を超えた共通の問題であり、地方地域や教育などで顕著な「統合」の問題は、「時代のキーワード」として、世界共通の問題になっている。その根底にウクライナ戦争や「米英対中ロ新冷戦」があり、そこに米英覇権の力が働いているのは一つの常識になっている。今、欧州で「ヤンキーゴーホーム」の声が高まっているのなどもその反映だ。
 にもかかわらず、なぜ日本においては、「新冷戦」や「自国第一」が問題にされず、選挙の争点になることがなかったのか。それは、与野党すべてが米英覇権の下、その覇権戦略を前提とした政治を行っているからではないだろうか。本誌前号の視点で、中国共産党20回大会への評価が日本の左右で同じなのを問題にしたが、根はそれと同じではないかと思う。さらに言えば、今、日本の政治が与野党一致の大政翼賛会的なものになっているのも、同じことだと思う。
 こうした視点から日本の政治を見てみると、見えてくる風景は大分異なったものになる。
 本誌前号に大阪、交野市の闘いが報告されていたが、その市長選でれいわ新選組と社民党を除くすべての与野党推薦の候補を向こうに回して、「福祉バス廃止反対」、「小中学校の給食費無償化」、「市民の声を聞く市政を!」など市民の要求第一の候補が勝利したとあった。これなどは、自分の地域第一が既存の与野党の政治を超えて、地域住民の要求になってきていることの端的な現れではないかと思う。
 自分の地域第一は、この数年間顕著になってきている自民党中央と地域自民党の対立と攻防にも現れているのではないだろうか。この攻防の多くで見られる地域の優勢は、中央の米覇権への追随政治よりも自分たちの地域の利益優先の志向をはっきりと示しているように思う。
 その上で、この自分の地域第一が自分の国第一にならないのはなぜだろうか。それは、国民の側に自分の地域第一はあっても、自分の国第一の意思も要求もないからだろうか。そうではないと思う。その理由が、それを託せるような政党がないところにあるのは言うまでもないのではないか。

2 到来するか自国第一新時代

 波は生まれた。しかし、それが時代を画する潮流になるか否かは、新年の闘いの如何にかかっていると思う。


 プーチン・ロシアの「特別軍事作戦」直後、それに対する「絶対多数での制裁決議」「ロシア経済の国際市場からの放逐」「新しい戦争=スターリンクによるロシア軍の市民による包囲殲滅」「圧倒的情報戦とプロパガンダ」等々と大変な鼻息だった米英覇権の側も、時間の推移とともに、大分意気消沈してきているように見える。
 一昨年末、米バイデン政権が一年後の開催を宣言していた「民主主義サミット」も開けないまま、ゼレンスキーが昨年末招かれた米議会で「ウクライナ戦争は、民主主義VS専制主義の戦争だ」と、それが「米英対中ロ新冷戦」と一体であり、ウクライナが米英覇権の代理戦争をしていることを自ら吐露するような演説をしたのは、彼らの余裕のない焦りを示しているのではないか。
 この間のバイデンと習近平、米中首脳会談、バイデンによるサウジなど中東訪問、そして新年早々に予定されているバイデンの7兆5000億円に上る援助をひっさげてのアフリカ歴訪などは、中ロとの二正面作戦を避けながら、「グローバル・サウス」(アジア、アフリカ、中南米など旧植民地諸国)で縮小している「民主主義陣営」(米英覇権陣営)の再拡大を狙う米英の必死の巻き返し企図が露わになっている。
 米英覇権の勢力圏再構築への動きはそれだけではない。米国本国でのアメリカ第一、トランプ勢力の最終的撲滅や独仏伊など欧州勢の自国第一への傾斜に対する阻止など、かなり余裕のないものになってきている。
 こうした攻防にあって、決定的なのは、やはりウクライナ戦争だ。この戦争がどうなるかで、米英覇権VS自国第一の攻防の行方も決まってくる。
 この戦争に対して、大方の見方は「長期戦」だ。早くとも3,4年はかかるのではないか。勝負を分ける決定的な決め手が見当たらない中、そんな声が大勢を占めてきている。
 ここで重要なのは、武器の数や質、兵站の準備程度ではない。それももちろん重要だが、それ以上に決定的なのは、それを使う人々の心だ。
 人々の心と言った時、米英から武器を渡され、彼らに代わって、「民主主義」のために戦うウクライナの人々にどれだけの覚悟と戦意、使命感が生まれてくるだろうか。米英、米欧から送られてくる兵器の少なからぬ部分が横流しなどで消えていっていること、多くの若者たちが兵役を拒否して、海外に脱出して行っている現実はそのことの現れではないかと思う。
 ウクライナのこの戦争での勝敗を決めるのは、この人々の心だ。厭戦気運の高まりは、「民主主義」の勝利や失われた領土の奪還を求めて戦争の続行を叫ぶゼレンスキー大統領の交代を次第に強く要求してくるのではないだろうか。
 もちろん、ロシアにも人々の戦争への反対、若者たちの兵役拒否などの現象が生まれているのは事実だ。しかし、この戦争の米英覇権に対する自国第一の本質は、時間はかかるかも知れないが確実にロシアの人々の心の中に入っていくのではないかと思う。プーチンが新しく動員した予備役30万の訓練やロシア領となった東部四州の治安の強化などとともにロシア全国民に対する愛国心教育の強化に第一の力を入れているのは、そのためだと思う。

■強まる「日米統合」への米国の要求
 新年、米国による「日米統合」への要求は一段と強まってくるのではないか。
 もともと、「米英対中ロ新冷戦」を敢行するに当たって、米国の下に同盟国、友好国を統合することは、中ロを包囲、封じ込めるのと一体の基本方針としてあった。こうしてデジタルトランスフォーメイション、グリーントランスフォーメイションの時代に、すべての分野、すべての領域に渡って、同盟国、友好国の力と最先端科学技術開発能力を米国の下に総結集すると同時に、中ロを孤立させて最先端科学技術発展困難に陥らせ、米覇権の回復を図るのが「新冷戦」戦略だった。
 その目論見が、旧年、ウクライナ戦争を通して大きく破綻してきている。その中にあって、米英にとってもっとも従順で物質的力のある同盟国である日本に対する「統合」への要求は決定的に強まってきているのではないか。
 昨年あった数々の事変の中でもっとも衝撃的で大きな事変であった安倍元首相銃撃事件とその後に続いた国葬問題、統一教会問題、そして四閣僚更迭、一議員辞職問題など一連の事態の連続は、一体何を意味していたのだろうか。この異常な事態の結果これから一体何が生まれるのか。それは、新年に行われる統一地方選、そしてその可能性大だと言われる岸田政権の解散と総選挙などを通して判明していくのではないかと思う。
 そこでは、地方から進展する日本の国のかたちの転換とそれとの関連での政界の再編が同時進行する可能性が高い。それと熊本で進展する国家予算をふんだんに費やしての半導体の製造、開発研究、教育など日米一体の地方地域での各種共同体の形成、等々が結びついている。
 それは、もう少し突っ込んで言えば、日米統合しての地方地域のあり方の再編と昔ながらの地元に根ざした土着自民党など地方地域政界のあり方の矛盾が地域住民の自分たちの地域第一、引いては自分の国第一への要求との関係で、日本政界そのものの再編をその根底から突き動かしていくと言えるのではないだろうか。
 「日米統合」への米国の要求は、地方地域だけではない。それは何よりも、軍事防衛部門で先行的に実現されて行っている。日本の軍事をこれまでの「非戦」から根本的に転換し、日本が米国と共同で戦争できるようにする安全保障三文書を閣議決定するとともに、財源問題を度外視した防衛費倍増計画を提起するなど、日米の軍事統合への動きは、ここに来て、急速になりふり構わない強引なものになってきている。

■日本大転換と新しい政治勢力
 「日米統合」への米国の日本に対する要求、それは、岸田政権の「デジタル田園都市国家構想」にあるように、米IT大手GAFAMの支配の下、日本を地方地域からその経済も教育もすべて米国の姿に変え、米国の一部にすることへの要求であり、軍事もその指揮と兵器開発すべてを日米統合し、日本全土を対中国核ミサイル基地化して、日本が対中対決戦の最前線として戦争できるようにすることへの要求だ。これは、すなわち、日本が米英覇権の下、米英に代わって中国と戦う「東のウクライナ」になることへの要求だと言える。
 戦後80年近く、日本は、米英覇権の下、大きくアメリカ化し、「イエローヤンキー」などと揶揄されながら、高度成長し、この間は、日本の過度の成長を喜ばない米国による抑圧の下、「失われた30年」、停滞の中にあった。
 しかし、今、世界は戦後始まって以来の大転換の時を迎えている。一言で言って、米英覇権という戦後世界の大前提が崩壊の時を迎えていると言うことだ。それがバイデン政権の言う「民主主義VS専制主義」ならぬ「米英覇権VS自国第一」と言うかたちで進行しており、その帰趨が見えてきていると言うことではないだろうか。
 ここで決定的なのは、日本国民自身がこの米英覇権による覇権回復のための「日米統合」、日本大転換の要求にどう応えるかということだ。これまで日本国民は、米英の日本大転換への要求を日本の支配階級との攻防を通して、受け入れさせられてきたと言うことができる。それは、幕末から明治維新への転換だったし、戦前から戦後日本への転換だった。
 もちろん、この時、日本国民は、その大転換に全面的に賛同していたわけではない。しかし、時の支配階級との闘いを通して、その政治的選択に一定の展望や状況を切り開く力を見出したが故に、それに同意し、従うのに甘んじてきたのではないだろうか。それと比較した時、今はどうか。未来へ向けての明るさが何かあるだろうか。米国が掲げる「民主主義」に現状を打開する何か新しい力が感じられるだろうか。
 事実、今、岸田政権への支持率が暴落していっているが、それは単純に「統一教会問題」や「閣僚更迭の連続」などによるものだけではないと思う。それは何より、物価高騰や賃金の停滞、年金引き下げなどますます苦しくなる国民生活に対して打つ手がないばかりか、米国に求められるまま、日本が戦争する国にされていっていることへの怒りや無力感の表示なのではないか。
 年末から年始へと急速に高まってきている反戦への気運、43兆円軍事費の為の大幅増税への約7割の反対の意思表示などは、そのことを雄弁に物語っているのではないか。
 これら国民の動向には、何かこれまでとは違ったものを感じる。何か大きな世界の流れ、中ロを敵とする米英覇権の要求に逆らい、日本は日本、日本独自の道、自分の国第一の道に進むべきではないかという意思が感じられる。
 これは、先述した地方地域における自分の地域第一の気運と一体だと思う。
 今、それに応える政党があるかと言えば、あるとは言えない。しかし、国民的気運のあるところにそれと一体に闘う政治勢力が生まれてくるのは自然の理だ。それが米英覇権の影響から完全に脱したまったく新しい政治勢力になるのは自明のことではないだろうか。



闘いの現場から

大阪カジノ阻止のたたかいは続く

平 和好


 昨年5月、カジノの是非を問う住民投票が反対派の勝利で終わったのに、維新府政・市政はいまだに賭博場の公費建設に執着し続けている。

■関西万博なんて大ウソだ
 関西万博を維新は吹聴しているがこれが信用ならないペテンであることは明らかだ。2025年に半年の会期が予定されているが、終わったら当然、取り壊す。数千億円の建設費がかかり、また付随する駅、交通網のために莫大な公金が使われてしまう。半年の万博にどう見てもお金がかかり過ぎである。実はその後に作られるTRと称するカジノ・賭博場は何十年も生き残るのだから、それが本命だ。しかも巨額の維持費も吸い上げられる。天からその費用が降って来るはずはない。全て血税だ。府税・市税はもちろん、周辺府県のお金と国の税金が当て込まれている。何度も本紙の記事で書いたように、世界のカジノは経営が超苦しい。朝から晩まで専用鉄道と橋を渡る車で、満員のお客を会場の小島に送り込み、その人達が順調に「負け続け」てくれないとこの博打場の維持費すら生み出せないし、投下した建設資金の回収も絶対ムリなのだ。国内外のカジノ業者すら収支見通しが暗い事を知っているので「オリックス・MGM」の合弁会社1社しか応募が無かった。

■破たん確実なカジノ
 土壌改良(有害物質除去)などで何百億円も余分にかかる事が分かって来たし、また、参入業者に破格の安い賃料で貸す事になっている事もばれ、増々税金のぼう大な無駄使いになる。そもそも古来賭博がご法度な日本で、行政が賭博の上がりで生きて行こうという事自体、人の道に反する。パチンコ屋や宝くじ売り場があるじゃないか、などと屁理屈を言う人がいた。それは私企業が出して作っているのであり、全然趣旨が違う。パチンコ屋を公金で作るなど聞いた事が無い。こんなものに我々の税金が何千億も使われるのは「行政詐欺」と言って良い。ところがこの「プラン」で国からお金を引っ張る約束が出来ているのであろうが、カジノ建設ができるかどうかより、お金引っ張りの道具に使われている節が強いだろう。実は維新の支持者でもカジノに反対の人が結構いるが吉村・松井・橋下催眠術にかかっているのか、公然とは言わない。  しかし、こんな詐術に気づいている賢明な人々はあきらめることなく反対運動に邁進している。写真にあるように正月早々も各駅で大宣伝が連続で行われた。また、こんなズサンな大阪カジノを認可しないよう、国に要請する署名も10万筆以上提出された。大手銀行に対しても回収不能に陥る可能性が強い資金協力をしないように要請行動も行われた。

■公費賭博場に賛成する議員を落とそう
 さらに一番の圧力として、4月にある統一自治体選挙でカジノ推進派の候補を通してはならない。私達納税者の首を絞める候補を通さない運動だ。賭博場建設と維持に巨額の税金が使われたら行政サービスに使うお金が無くなるのは子どもでもわかる。府議会はカジノや維新政治を支える公明・維新の議員ばかりにしようと企んで、9人の定数削減が行われた。まともな候補はますます狭き門にされてしまったのだ。しかしあきらめず、税金は博打ではなく、子育て・教育・介護・コロナ対策に使うよう訴える候補を応援する事をここに強く呼びかけたい。統一自治体選挙前半は3月31日から4月9日、(大阪府知事は3月23日告示、大阪市長は3月26日告示)、後半は4月16日から4月23日。身の回りのれいわ・共産・立憲・みどり・野党共闘などのカジノ反対派を全力応援しよう。


 
随想

今年の元旦は◎!

金子恵美子


 「一年の計は元旦にあり」と言うが、だとすると今年はインドア―ではなくアウトドア―、静ではなく動の年になりそうだ。
 元旦、私は大阪府警前の「関ナマ弾圧反対集会」に参加していた。昨年4回実施した「未来アジア学習会」の仲間の人たちと、元旦がみな一番時間があるとのことで「学習会の振り返り」も兼ねた新年会を開くことに。仲間の一人K氏から伝えられたその待ち合わせ場所が大阪府警前であった。
 府警が近づくとのぼり旗や多くの人だまりが見える。「えっ何?」「どういうこと?」と思いつつ現場に到着。K氏を見つけたので、「ここ待ち合わせ場所であってますか?」と聞くと、動じもせず当たり前のように、「12時までこの場所を動きません」と言う。「新年会」に参加予定の他の人たちの姿も見える。だんだん状況が呑み込めてきた。つまり、この集会に参加した後、「新年会」へ、という流れのようだ。もう忙しくてそんな説明はかっとばして「待ち合わせ場所と時間だけ」知らせてきたようだ。ま、いいかと気持ちを切り替えて、元旦の朝の澄み切った青空の下で繰り広げられている元気一杯のこの集会に合流することになった。
 2017年に始まった「関西生コン支部」への不当大弾圧。18回もの逮捕劇が繰り返され、延べ89人の組合員と事業者が逮捕、71人が起訴。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するための活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など当たり前の組合活動が、恐喝未遂、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件にされたものだ。
 これに対し、労働法学者や自治体議員、弁護士などによる「労働組合に対する信じがたい刑事弾圧」への「抗議声明」がだされ、「関西生コンを支援する会」が相次ぎ結成されている。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっていることが分かる。
 今年で5回目を迎えるという元旦抗議集会。200名位から始まったこの元旦行動も年を重ねるごとに参加人数が増え、今年は450人の結集との発表。元旦の朝から京都や滋賀、兵庫、東海など各地から元気一杯の老若男女(若がやや弱め)が参加し、再会を喜びあい、各団体の挨拶に「そうだ!」の掛け声、替え歌に楽器演奏などなど、なにか清々しいこの集会に自然に溶け込んでいく自分がいた。

  心に響いた参加者の発言を少し紹介したい。
≪・格差・貧困・生活苦が世界的なものになり、ヨーロッパなどの人びとの闘いに繋がっている。日本も同じ。それを支える機能を持っているのが労働組合。労働組合法がそれを保障している。これを使わない手はない。必要としている若者が多くいる。マスコミは伝えないが日本の真実を私たちが知らせていく。この闘いの中で何を培いどう育てていくか、それが問われている。
・裁判闘争と職場、地域での闘いー市民に訴える集会を結びつけることが大切。警察の弾圧があるだろうがその中で運動は強化される。
・本日8時から改憲阻止平和大行進に参加してその後でこの集会に合流している。日本は戦争に向かって突き進んでいる。絶対に許してはならない。
・嘆くな組織せよ!人の痛みは我が痛み!支援ではなく共に!
・社会全体の労働運動が弱化。どう活性化するか!戦争情勢の中で物言う団体の口封じが進む。これを押しとどめるという思いで今年一年頑張る!こんな弾圧許せんやろ!この原点に戻って闘う。労働組合潰しは戦争への道!
・ 「時代の転換期」と岸田は言っている。どういう転換か、その中身が重要≫。

 そうだ、転換の中身が重要だ。アメリカの「対中ロ新冷戦戦略」に積極加担し、アジアと敵対し戦争できる国へと国の形を変えていく岸田政権の転換か、自国とアジアの平和と友好、国民生活を第一に考える政治への転換か。今私たちはこのはざまに置かれている。その為にも闘う労働組合への弾圧を絶対に許してはだめなのだ。それを確信した、結果オーライの元旦行動であった。



滅びへの道

小川町企画発行「思想運動」2023.1.1の一面に掲載された石川逸子さんの詩


かつて怪しい目論見は
ひそかに進められたものでした
今は 大手を振って 舌を出しながら
進められていきます
核兵器製造の日を 待ちつつ
46トンのプルトニュームを溜め
「敵基地攻撃能力」を
「反撃能力」に置き換え
20年前 誓われた
日朝平壌宣言を 弊履のごとく捨て去り
《明治》に奪い 《昭和》で捨て石にした
琉球を いま ミサイル要塞化し
《丁寧》な説明は かなぐり捨て
NATOの一員になったかのように
マスメディアを ネットを  味方につけ
Jアラートで 震えさせ
わたしたちの税を
惜しげもなく ウォール街に捧げ
でも 怪しい目論見は
怪しい目論見 わかりきった滅びへの道
見抜き 一心に 叫んでいるのは
生まれてくる 声の出せない子どもたち
深夜 樹木のささやき が
その声を ひそかに 伝えてくれています



 

年賀状より

 


・いつもニュースを送って頂きありがとうございます。本年はロラたち(フィリピンの日本軍性被害者のおばあさん)と国連で闘います。(T・S)

・コロナは収束せず、物価の高騰はつづき、社会生活は不安だらけです。そんな中、国は自衛隊に敵基地攻撃能力(反撃能力)を持たせるという事に梶を切ろうとしています。そして、防衛力の強化のための財源は増税です。許されることではありません。(Y・J)

・コロナが三年も続き、軍国主義復活を目指した安部晋三は暗殺されましたが、二倍の軍備拡張を進める岸田・自公政権が続き、生きづらい世の中です。これ以上反動化しないことを願っています。(T・M)

・写真展では大変お世話になりました。
 2023年新年にあたって
 私は日本による植民地支配・侵略の被害者や、日本が関わる大規模な環境破壊の取材を続けてきました。そのためアジア太平洋の国々を訪れた回数は200回。ところが、新型コロナウイルスによって三年間も海外へ出ていません。
 ですがこの状況を逆手に取って、写真展「平壌の人びと」を全国各地で開催しています。昨年は大阪・埼玉・新潟・鳥取・岡山・名古屋・奈良・札幌・横浜・北九州。2021年を合わせると14都市で、延べ約8000人にご覧頂きました。「高麗博物館」(東京都)では5月3日〜7月2日に、前期・後期と分けて展示します。
 朝鮮民主主義人民共和国は、核・ミサイル開発を行う理由を、米国による大規模な軍事攻撃から国を守るための「最大の抑止力」だとしています。11月18日に発射実験が行われた「火星一七」は米国本土を射程に収め、複数の核弾頭の掲載が可能と推察されます。もはや「開発」の時代は終わったようです。米国が置かれている状況は大きく変わったのであり、バイデン政権は制裁緩和をしながら朝鮮との現実的な交渉をするしかありません。(伊藤孝司氏)


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