研究誌 「アジア新時代と日本」

第232号 2022/10/10



■ ■ 目 次 ■ ■

編集部より

視点 「国」第一で「同盟」第一の打破を! 

論点 リムパック−隠然と進む有事日米作戦「統合」

論点 米覇権に対抗する上海協力機構とBRICS

寄稿 日中国交50周年 アメリカの冷戦思考・パワー・ポリティクスではなく、中国の人類運命共同体に日本の活路と未来がある

現場から 交野市長選挙報告 勝利の鍵は民意




 

編集部より

小川淳


 中国、韓国の後塵を拝した日本
 「不易流行」という言葉がある。「不易」は永遠に変わらない本質的なことで、「流行」は時代々々に応じて変化することを意味する。一見矛盾するが、変化に応変してこそ、不易は守られる―という芭蕉の言葉だ。一般論だが、人は老いても20歳の頃と比べて、ものの考え方や見方、価値観などあまり変わらないという。私もあまり変わっていない(ように感じる)。これを不易といえば失笑を買いそうだが・・。
 なぜこのような言葉を思い出したのかというと、今回寄稿して頂いた伊関氏の原稿を読んで、ふと50年前を思い浮かべたからだ。今年は日中国交50周年だが、国交が開かれて間もない70年代後半、神戸で中国物産展が開かれて見学したことがあった。日中友好団体の主催だったと思うが、会場には当時の中国の「物産」が並んでいて、それを見て正直がっかりした。文字通りの物産品で、簡単な日用品や衣類など、お世辞にも買いたいとは思えない品物で、技術レベルがあまりにも低かったからだ。
 高度成長期の日本と中国の経済力の差は歴然で、中国が日本に追いつくことは「永遠にないな」というのが私の実感だった。しかし、50年後の今はどうか。中国経済は完全に日本を凌駕してしまったばかりか、世界最大の経済国アメリカを追い越すのも確実となっている。
 韓国についても同じだ。70年代といえば、今問題になっている勝共連合(原理研)との闘いを思い出すが、当時の韓国は軍事独裁政権が李承晩、朴正煕、全斗煥と何代も続いていた。南北分断の現実や駐留米軍の支配を直視すると、韓国の民主化を想像するには絶望的な状況だったと思う。だが今の韓国はどうか。光州事件など血で血を洗う闘いを繰り広げ、広範な大衆が結束した「民主化闘争」で軍事独裁政権を「打倒」し、韓国の民主化を自らの手で勝ち取った。一度も政権を「打倒」した経験のない日本と比較しても、政治の質のレベルでも、韓国が日本を「追い越した」のは明らかだ。
 中国も韓国も日本に追いつき、追い越すことは「永遠にない」、そのように考えていた日本人がほとんどだったのではないかと思う。日本が常にアジアのトップを走るという「雁行」のイメージが常に日本人の頭のどこかにあった。しかしわずか20年ばかりの間に、経済でも政治でも中国、韓国に追いつかれ、いつの間にか追い越されてしまった。
 永遠に変わらぬ本質的なもの(不易)というものは確かにある。同時に時代は常に変化(流行)し、それに対応することも大切だ。日本は対米同盟一択で戦後を生きてきたが、それが永遠ということはあり得ない。日本が本来依拠すべき場所はどこなのか、伊関氏の寄稿は、それを考えるうえで多くの示唆を与えてくれていると思う。



視点

「国」第一で「同盟」第一の打破を!

編集部


 今、日本の政治が深い混迷の中にあるように見える。安倍暗殺、国論を二分した国葬、そして旧統一教会との癒着問題など、執権党、自民党の屋台骨を揺るがす問題の続出、いつ果てるとも知れぬコロナの蔓延と物価高騰、賃金の低迷、急激な円安、それらがウクライナ戦争、「米対中ロ新冷戦」と同時に進行している。

■「新冷戦」が争点にされない日本政治
 濃い霧がかかったような日本政治の混迷、その根底には、ウクライナ戦争の裏で進行する「米対中ロ新冷戦」がある。
 米国がその覇権回復戦略として、中ロを相手に引き起こした「新冷戦」にあって、日本は西のウクライナとともに東の最前線に立たされている。それが今の日本政治の混迷と無関係であるはずがない。 実際、そのための「日米統合」は、政治、経済、軍事、教育などあらゆる領域に亘り、地方地域、民間の末端から、DX、GX、スペースXと一体に急速に推し進められている。
 だが、日本の政治においてこのことが問題にされることは、全くないと言っていい。この間、参院選、沖縄知事選という日本の命運に関わる大きな選挙があったが、そのいずれにおいても、「新冷戦」との連関で問題が提起され、争点が設定されることは絶えてなかった。
 それと比べて対照的なのがヨーロッパの政治だ。この間あったフランスやイタリアなどの総選挙では、ウクライナ戦争との関係で物価高騰など懸案の問題が提起され、EUやNATO、米欧同盟の要求よりも自国第一、国益第一を重んじる勢力が大きく票を伸ばし、スウェーデンやイタリアなどでは政権が勝ち取られている。
 日本とヨーロッパ、この違いは一体どこからくるのか。それは明らかに、米国との「同盟」に対する態度の違いからきている。日本において、日米同盟は動かすことのできない不文律、大前提になっている。だから、米国が推し進める「新冷戦」に対してどうするかが問題になることはない。
 それは、言い換えれば、日本政治が「同盟」の手の平の上で動かされているからだと言える。すなわち、「新冷戦」を引き起こしている張本人である米国との同盟の手の平の上にあって、「新冷戦」の是非を問い、それとは別の道を選択するなどあり得ないと言うことだ。

■転換する時代とその展望
 「新冷戦」の進展とともに、時代は動いている。米覇権の回復か、中ロへの覇権の転換か、はたまた覇権の多極化か。そうした中、覇権時代そのものの終焉、覇権なき脱覇権時代への転換が進んでいるのも忘れてはならないと思う。
 この時代の転換で中心に位置しているのは、やはり、ウクライナ戦争だ。この戦争がどうなるかで、時代がどのように転換するか、その帰趨が決定的に左右されるようになると思う。
 ウクライナ戦争を見た時、明らかなのは、この戦争が単純なロシアによるウクライナへの侵略戦争ではないということだ。その裏には、2019年、米国によって表裏一体に始められた「力で現状を変更する修正主義国家」、中国とロシアに対する「新冷戦」がある。この二つの「新冷戦」にあって、公然と開始された「米中新冷戦」に対し、「米ロ新冷戦」は非公然に隠然と、ウクライナのNATO加盟と対ロシア軍事大国化、ネオナチ化を米英の直接指導の下、促進するかたちで開始された。
 それから3年、今年2月24日に始まったロシアのウクライナに対する「特別軍事作戦」は、プーチンによれば、そうした米英によるロシア包囲攻勢に対する先制攻撃だと言うことだ。
 実際、ウクライナ戦争の進展を見ると、戦いはロシアとウクライナの戦争と言うより、後ろから武器や資金援助をする米英、米欧の矢面に立ってウクライナ軍がロシア軍と戦うさながら代理戦争の様相を呈している。
 そればかりではない。米欧によるロシアへの経済制裁に対抗して、豊富な地下資源や穀物を元手に、中国をはじめ、広範な非米国家群を味方につけて展開するロシアによる大反撃は、この戦争に世界を二分する世界大戦的様相まで帯びさせてきている。
 この戦争の行方を展望する時、見落としてならないのは、先頃プーチンによって敢行されたロシア国民の追加部分動員とウクライナ東部、南部四州のロシアへの併合だと思う。これにより戦争は、ロシアによる「特別軍事作戦」から「祖国防衛戦争」に転換するようになった。
 もちろん、米欧側は、四州の住民投票を茶番劇だと非難し、追加部分動員がロシア国民の反発を受けるのを見ながら、そこにロシアの致命的弱点を見ようとするだろう。しかし、そうしたことがありながらも、この「転換」はロシアにとって非常に大きな意味を持つようになると思う。
 米欧覇権の側は、「新冷戦」を「民主主義VS専制主義」の戦いだとし、国の専制、国の強権、国の権威、等々、「国」を否定し、敵に回している。だから、ウクライナ戦争でもウクライナを「国」として尊重し、押し立てていない。
 また、今、イタリアなどヨーロッパで現れている「自国第一」「国益第一」の台頭を「極右」「右派政権の登場」などと否定的にとらえている。
 これらすべては、米覇権が崩壊する現時代にあって、自分たちの共同体としての「国」にしか自らの生の拠り所、居場所を見出せない人々の要求を見ようとしない誤ったものの見方だと思う。
 この観点に立った時、ウクライナ戦争の帰趨は明確だ。ネオナチからの解放、米欧覇権との戦いを掲げ、ロシア国民の愛国心に訴えて、祖国防衛戦争を推進するプーチン・ロシアが米英、米欧を後ろ盾に、代理戦争を行うゼレンスキー・ウクライナを最終的に圧倒するのは目に見えているのではないだろうか。
 また、この戦争の帰趨は、世界的な勢力配置図からも読みとれる。今、世界の趨勢は、「自国第一」「国益第一」にある。中ロまで含め、世界の圧倒的多数の国々の志向はそこにあり、米欧の側の諸国の間にもその要求が広まっている。
 ウクライナ戦争におけるロシア側の勝利が「米対中ロ新冷戦」に及ぼす影響は計り知れない。それは、時代の転換を決定づけるものになるだろう。

■日本政治の根本的転換を見据えて
 戦後、日本政治は一貫して「同盟」第一だった。日米同盟が政治の基軸に据えられ、「国益」は「同盟益」あってのものにされてきた。軍国主義の否定が「国」の否定に結びつけられ、憲法は安保の下に甘んじさせられた。
 今日、米覇権崩壊の危機にあって、日米同盟第一はどうなっているのか。覇権回復戦略である「新冷戦」の下、米国は、同盟諸国、友好諸国に何を要求しているのか。それが同盟諸国、友好諸国と米国の「統合」であるのは、周知の事実だ。
 だが、今日、少なからぬ同盟諸国、友好諸国は、米国のこの要求に従っていない。これら諸国に台頭する「自国第一」「国益第一」の潮流は、「統合」どころかその反対の方向へ、自国を動かしていっている。それは、フランスやイタリアなどヨーロッパだけではない。かつて米国の裏庭と呼ばれた中南米でも、そして、アジアやアフリカ諸国でも同じだ。「自国第一」「国益第一」の潮流は、もはや「ポピュリズム」「極右、右傾化」などと呼ばれ、あくまで偶然的な現象と蔑視、軽視されてきた時代を完全に抜け出してきている。
 そうした中、日本はどうか。日本においては、政治において、「新冷戦」が問題にされ、「日米統合」が政治の争点として取り上げられることもないままに、安倍暗殺、国葬問題、統一教会問題など一連の問題が浮上する中、政治の混迷が一段と深まってきている。
 今、日本において政治の争点にされることもないままに、日本を「新冷戦」の最前線に押し立てるための「日米統合」が推し進められていっている。それは、戦後一貫して続けられてきた「同盟」第一の質的転換であり、これまでのように、単に日本という「国」の上に「同盟」を置くと言うのではなく、日本という「国」を米国という「国」に統合、一体化し、アメリカ化してしまうと言うことだ。それが今、日本で何の審議も検討もなく、誰も問題にしないままに進められていっている。
 この時代に逆行し、日本という「国」を米国に売り渡してしまう反逆行為を許してはならない。
 この問題を解決することができる主体は、日本国民以外にない。国民の前に今進行している事態の本質が全面的に明らかにされ、全国民的な運動で、日本政治の混迷が突き破られ、問題の解決が図られていくようになることが今切実に求められているのではないだろうか。



論点

リムパック−隠然と進む有事日米作戦「統合」

吉田寅次


■日米同盟刷新のキーワード「統合」
 旧聞に属するが3月にジャパンハンドラーと称されるR・アーミテージが「ウクライナの教訓−日米同盟の刷新 緊急性」と題する寄稿文を読売新聞(3/28)に寄せた。
 アーミテージ提言「日米同盟刷新」の骨子は、「@連合作戦司令部A連合開発能力」の2点だ。 
 @は、NATOのような連合作戦司令部をつくって有事には日米一体の指揮体系の下に自衛隊が動くようにすべきだということ。当然、自衛隊は専守防衛から外征戦争の攻撃型軍隊に変わる。
 Aは、これまで各国個別にやってきた兵器開発と生産を日米一体の開発、生産体系に変えること。
 要するに米一国では軍事作戦も兵器開発、生産も中国にかなわないから同盟国と連合してやろうということだ。言葉を換えれば、衰退一途の米覇権軍事を同盟国・日本に補わせるというのがアーミテージの言う「日米同盟刷新」論だ。
 これはバイデン政権の「統合抑止力」論に則り「抑止力」の作戦行動と兵器開発を同盟国と統合するという戦略に基づくものだ。当然「抑止力」敵攻撃能力といえば核を基本に米軍が圧倒している条件で、「米軍の下への統合」ということになる。自衛隊は作戦から兵器に至るまで米軍に完全に吸収統合されることになるだろう。
 すでにこれは現実の実体として推進されている。

■リムパック−「存立危機事態」想定の初の日米連合作戦
 6月29日から行われたリムパック(環太平洋合同演習)は、上記の「日米同盟刷新」において重要な実践的意味を持つものだった。
 当時の新聞は「対中抑止鮮明」「26ヶ国合同演習へ」とQUAD(米日豪印)、AUCUS(米英豪)ほか米大陸、アジアなどから26ヶ国参加の「史上最大規模」の演習と伝えた。
 規模も規模だが問題は中味だ。 
 案の定、8/9の朝日新聞は、「存立危機事態を想定した初の自衛隊実働訓練」であると明かした岸防衛相(当時)の談話を伝えた。安保法制の定める「存立危機事態」集団的自衛権行使、「反撃」という戦争作戦想定の日米実働訓練に自衛隊は一歩足を踏み入れたのだ。
 これは日米同盟刷新の「@連合作戦司令部創設」、有事に米軍指揮下で自衛隊が外征戦争を行う実働訓練がすでに実施されていること、つまり「連合作戦司令部」は実体としてすでに稼働されているということだ。
 リムパックへの護衛艦「いずも」の参加の意味もこれでわかる。現在、小型空母化改修中の艦艇ゆえ有事の自衛隊空母参戦を念頭に置いたものだ。また海上演習なのに「陸自参加」とあったが、これも西部方面隊ということからして日本版海兵隊「陸自水陸機動団」参加と推測される。この部隊は有事に真っ先に敵国に上陸する外征戦争部隊だ。
 この重大な「日米同盟刷新」事態を1ヶ月後の防衛大臣の事後談話として新聞が小さく伝えるという姑息さ、それは国民には見えないように隠然と進む有事の「日米統合」作戦演習という極めて危険なものであることは明らかであろう。

■国家安全保障戦略改訂で日米「統合」確定
 いま日米同盟刷新、日米軍事統合が日本政府の政治路線、国家路線として確定される段階に至っている。
 周知のように国家安全保障戦略改訂が年末に行われる。これには反撃能力保有と防衛費倍増、また防衛産業「振興」が明記される。これはまさにアーミテージの言う上記@Aの言う「日米同盟刷新」、日米軍事「統合」の国家路線化である。
 平たく言えば、「反撃能力保有」の自衛隊は有事に米軍指揮下で動く外征戦争武力、米軍の下請け軍隊と化す。
 これまで「有事の指揮権は米軍が握る」は日米政府間の「密約」としてあったのが、公然たる日本の政策として確定される。自衛隊は米軍の下に統合された外征戦争軍として米国に好き勝手に動かされるものになり、以前にも述べた日本の「東のウクライナ化」、米中新冷戦・代理戦争国化が現実のものとなる。
 「日米同盟第一」の野党にこれを阻止する力はない。「日米同盟第一」に異を唱える新しい政治勢力の再結集が緊切の課題だと思う。


 
論点

米覇権に対抗する上海協力機構とBRICS

東屋浩


■顕在化する欧米諸国と非米主権擁護諸国の対立
 周知のように今日、米国は世界を「専制主義国家と民主主義国家」に分け、いわゆる「専制主義国家」とする中ロを排除し世界を分断しようとしている。
 とくにウクライナ戦争を契機に欧米がロシアにたいする全面的な制裁を加えることによって、世界が欧米式民主主義を標榜する欧米諸国とそうでない非米主権擁護諸国とに完全に分かれるようになった。
 こうした中、欧米のロシア制裁に加わっているのは30数カ国であり、大多数の国はロシア制裁に参加していない。
 ロシアは対外収入の6割を天然ガス・石油に負っている。そこで米国は金融制裁・エネルギー輸入禁止措置をとることによってロシア経済に打撃を与えることを狙ったが、インドのロシア産石油輸入が8倍に増えるなど、ロシアの原油輸出は制裁以前より増加している。中国のロシア産天然ガス輸入も急増し、むしろ制裁に加わった独、北欧、日本がエネルギー危機に陥っている。金融決済もルーブルや元が力を増し、ドル経済圏が縮小していっている。すなわち、欧米と無関係な新しい経済圏が生まれていっている。
 米国は5月インド太平洋経済枠組み(IPEF)にASEAN諸国を取り込もうとし、6月米州首脳会談を開催し、中国に対抗した日英豪仏を含めた太平洋での新たな経済枠組みを作る構想を明らかにした。7月中旬、バイデンが中東を訪問し、石油増産と中東版NATOの発足を目的にしたが、かつての親米派だったサウジが応じずバイデンの目論見は外れた。この半年余り、米国は「新冷戦戦略」を掲げロシアと中国を孤立させようと必死に策動したがことごとく失敗に終わっている。
 世界各国は「専制主義国VS民主主義国」に分ける分断と排除を求めておらず、平和と正常な貿易関係を求めている。米国の分断と排除の戦略は、かえって自らの孤立を招いていると言えそうだ。

■米欧日との対抗軸の強化発展
 7月末に開催された上海協力機構・外相会議に続いて、9月中旬、首脳会議がウズベキスタンで催された。注目されたのは、ウクライナ特別軍事作戦以来はじめてとなる中ロ首脳会談だったが、これにより中ロが主導する欧米日にたいする対抗軸がさらに強化されたといえる。
 会談では習主席が「双方の核心的利益に関わる問題で互いに力強く支持したい」と中ロの戦略的協力関係の強化を示した。中ロの経済関係ではすでに貿易総額が昨年の35%増の1400億ドル超、今後さらに更新していくことになるだろう。また、決済方式では、ドルを排除し当事国の通貨でおこなう手続きをすすめた。軍事的には、9月3日、軍事演習「ボストーク2022」に中国陸海空軍が参加し、日本海での実弾射撃演習をおこなった。
 こうして中ロの連携強化を軸に中東、東南アジアまで含むユーラシア大陸の非米諸国を結集しているのが、上海協力機構だ。
 上海協力機構の拡大では、中ロ印パキスタンと中央アジア4カ国の計8カ国に加え、イランの加盟審議とベラルーシの加盟申請、アフガニスタン、モンゴルのオブザーバー、トルコなど対話パートナー6カ国、参加申請9カ国を含め、27カ国に及んでいる。出発点が中ロと国境を接する諸国のテロ対策から始まったことから、中央アジアを中心にしたユーラシア大陸の国々が主流だ。
 更に注目すべきことは、BRICS(ロ・中・印・南ア・ブラジル新興国5カ国)の台頭だ。BRICSはユーラシア大陸を越えて、アフリカ、中南米まで含まれている。BRICSが8月、アルゼンチン、トルコなど13カ国を招請し、拡大会議をオンライン形式で開催してロシアへの制裁反対で一致した。習近平主席は「一部の国が軍事同盟の拡大により、絶対的な安全保障を求め他国の権益を無視して唯我独尊を大々的にやっている」と米欧を批判し、「互いの核心的利益に関わる問題で互いを支持し覇権主義と戦うべきだ」と述べて賛同を得た。
 欧州でもスウェーデン、伊などで自国第一主義政権が生まれている。今や、世界を主導しているのは、米国ではなく非米の自国第一主義・脱覇権勢力だと言えるのではないだろうか。



寄稿 日中国交正常化50周年

アメリカの冷戦思考・パワー・ポリティクスではなく、
中国の人類運命共同体に日本の活路と未来がある

大阪城狛犬会 伊関要


《大転換期にある世界》
 中国をはじめ第三世界の発展は目を見張るものがある。同時に、アメリカを筆頭とするG7の凋落が著しい。この厳然とした事実に気付かない日本人のなんと多いことか。かつて欧米帝国主義列強(現在のG7)の植民地支配と搾取に苛まれた中国をはじめ第三世界が、今や、人類発展の成長点・原動力へと転化した。
 以上を可視化する意味でいくつかのグラフを紹介したい。名目GDPに関して言えば、10年以内に中国がアメリカを抜き世界1位となることが確実視されている。ちなみに、現在、中国は日本の4倍のGDP規模に達する。
 購買力平価GDPについては、既に2014年に中国がアメリカを凌駕している。
 1980年代後半、アメリカを筆頭とするG7のGDPは、世界シェアで実に70%近くを占めていた。ところが、2014年にはG7のGDPの世界シェアは45.9%に低下、G7以外の国々が50%を超える事態となった。この傾向はますます進んでおり、なかでも中国をはじめとするBRICSの成長が著しい。

《中国、今や貿易パートナー1番人気》
 世界の国と地域の最大の取引相手は、どこの国かを(2021年JETRO世界貿易投資動向より)調べたところ、実に58.82%の国と地域の最大の取引相手は中国だった。2位がアメリカとドイツで11.76%。3位がスペインとメルスコール(南米市場共同体)が2.94%となり、わが日本は4位の1.47%で、カナダ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ウガンダ、インド、スイス、ブラジルと同率、同位であった。
 この結果を円グラフにまとめると次のようになる。
 貿易パートナーとしての人気は、中国が群を抜いて1位であった。メディアから聞こえる「覇権主義的・人権弾圧・専制主義」の邪悪な中国が、どうして圧倒的人気があるのか?メディアの中国ネガティブ報道の信憑性が疑われる。

《中国人気の源泉・人類運命共同体》
 貿易パートナーとしての中国の圧倒的人気の源泉とは? それは、先に示した貿易指標に表れる中国の発展とアメリカ(G7)の凋落という客観情勢もあるが、それよりも中国の貿易の基本理念が「互いの利益を図る、ウィンウィンの関係構築」にあるということが重要だ。相手をライバル、敵とみなす「冷戦思考」のアメリカが、嫌われるのと対照的だ。
 中国の人気の貿易理念は、中国が提唱する「人類運命共同体」に由来する。
 「人類運命共同体」とは、「地球資源の限界が認識され、拡張・排他、市場の独占、戦争を続ける余裕は人類には残されていない。地球は人類が生存できる唯一のふるさとであり、地球を心から愛し、必死に守ることが人類の唯一の選択肢である。」といった問題意識から出発し、平和発展を基本に「異なる社会制度、異なる意識形態、異なる歴史文明、異なる発展レベルを持つ国が、国際活動の中で目標を一つとし、利益を共に得て、権利を共有し、責任を共に担い、人類社会全体の発展を促進する」というものだ。

《アメリカの冷戦思考・パワー・ポリティクスではなく、中国の人類運命共同体に日本の活路・未来はある》
 浅井基文さん(元外交官、東大、日大、明治学院大、広島大広島平和研究所所長等、教授歴任)は、日中国交正常化50周年記念大集会(9/28、衆議院会館)の基調講演で、「中国が提唱する人類運命共同体と、平和憲法(日本国憲法)の親和性」について論じられた。即ち「平和憲法の目指す世界と人類運命共同体が目指す世界は同じ」だと。平和憲法も人類運命共同体も目指す世界は、「民主的国際秩序、ウィンウィン・共存共栄」の世界だということだ。
 これに対して、アメリカは「ルールに基づく国際秩序」を主張するが、ここでいうルールとは「アメリカの言うこと」という意味で、「ルールに基づく国際秩序」の本質は「アメリカの言うことを聞け」というパワー・ポリティクス・覇権主義に他ならない。
 人類運命共同体はパワー・ポリティクス・覇権主義を否定しその対極にあり、しかも平和憲法との親和性を有し、人類生存を託し得る理念だ。
 私たち日本人は、世界の大転換(中国、第三世界の発展)に刮目し、アメリカへの幻想を捨て、凋落するアメリカの冷戦思考・パワー・ポリティクス・覇権主義と決別し、中国の人類運命共同体に日本の未来を託すときに来たことに覚醒しよう!
 折しも今年は日中国交正常化50周年の節目の年にあたる。日中友好を基礎に、平和憲法を守り、人類運命共同体へ参画し、平和発展の道を歩む中にこそ日本の活路と未来はある。



現場から 交野市長選挙報告

勝利のカギは民意

せきまなぶ


 大阪府北東部にある人口約7万7千人の交野市。約25平方キロメートルの市域の半分を山地が占め、住宅地と農地が混在する。大阪と京都の中心地に、電車で30分で行くことのできる便利な地域だ。そこで、3月28日公示・9月4日投開票で、市長選挙が行われた。
 立候補者は3人だが、実質は、3選を目指す現職の黒田氏(52歳)と新人の市議の山本けい氏(42歳)の2人。4年前も2人は対決し、黒田氏16000票・山本氏9500票・(共産党候補4000票)で黒田氏の勝利でおわった。
 事前予想は、誰もが黒田氏の3選だった。ただ、2期目の黒田市政に対して、市民から疑問の声が上がっていた。それは、@交野市直営の福祉バスを廃止したこと。A市中心部にある交野小学校と長法寺小学校と第1中学校の3校を合併し、交野小学校の敷地に「施設一体型小中一貫校」を建設するとしたこと。
 @の問題は、提案された時から、高齢者団体の交野市星友クラブ連合会や障がい者団体が、「一年間、公共交通政策について議論しよう」と提起し、署名運動を展開。1万人の署名を市長あてに提出したが、市長は受け取りを拒否。市の福祉問題の審議会も反対した。にもかかわらず、市は「廃止」を強行した。
 Aの問題は、1小学校の敷地に、2小学校と1中学校が合併されることから、敷地面積の狭さ・運動場が狭い・プールがない・通学の時間と安全性・災害時の避難所としての機能不全などが地域・保護者に指摘されたが、市も教育委員会も無視して強行。そのため、可否を問う「住民投票条例の制定」要求署名運動に進んだ。1地区の問題でありながら、問題は全市的に議論された。
 結果、有効署名は、7千筆を越え大成功に終わった。しかし、市長は、反対の意見を付けて市議会に提出。自公立維らの多数で否決。運動に携わった人は、「これでは、もう市長を代えるしかない!」と決意し、多くの方が選挙戦に加わった。
 それは、各団体のチラシの数等に如実に表れている。約3万世帯に、山本後援会ニュース3回・各団体ビラ3回・確認団体ビラ2回を撒き、事前の決起集会・選挙中の街頭演説・連日の演説会が市民主体で行われ、現職を圧倒した。私たちが提起した「みんなでつくるみんなの交野」のスローガンは、市民に定着した。黒田陣営は、応援弁士に遠くの代議士や名士を呼ぶという政党や支援団体の組織力に頼り、市民から「どこの選挙してんの?」と言われる始末だった。
 山本氏は、@Aの運動の先頭に立ち、市民と共に歩んだ。その結果、山本けい候補15816票 、黒田実候補14895票(有権者64247 投票率約50%)。921票の差で山本氏の当選となった。単純に言えば、山本氏の市議選獲得票4500+支援した無所属市議票2800票+自主支援した共産党市議票4500票の計11800票に、無党派の市民の票4000票が上積みされた形だ。
 当選後の山本氏の第1声。「この当選は市民の皆様の勝利です。市民の皆様の声を聞き、公約実現に向けて頑張ります」と。
 3年余りの市民の戦いの成果だと思う。だが、圧倒的に市議会では数で負けている。今後困難な闘いになるだろうが、私たちはこの選挙を勝利に導いた民意を背景に、公約実現に向けて、来年の府議選・市議選を戦う決意を固めている。


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