研究誌 「アジア新時代と日本」

第222号 2021/12/10



■ ■ 目 次 ■ ■

編集部より

主張 改憲の動きを奇貨に

議論 維新の「当時機構改革」とは何なのか

議論 半導体産業の再興の道

コラム 二病息災(3) 本決戦

投稿 選挙ボランティアを終えて

読者より 衆院選2021の余白




 

編集部より

小川淳


 「人」として認めない「移民大国」日本
 長期にわたるコロナ過で多くの人が困窮している。非正規、シングルマザーや子供たち、学生など。とりわけ異国の地でコロナ過に遭遇し、公的支援のない外国人留学生たちも大変な思いをしているのではないか。先日、駅の路上でチョコレートを売っている外国人留学生(女性)を初めて見かけた。聞くとフィリピンからの留学生、「福祉系大学」に通っているが、コロナでアルバイトがなく生活費の足しに路上でチョコレート(一袋500円)を売っているとのこと。来春卒業だが、就職先は未定だという。どのように生活しているのか、あまり立ち入った話は聞けなかったが、チョコレートを買った。なにか私にできることはなかったのか、という思いが強く残った。
 日本での日常の変化の一つは、外国人労働者の姿を見かけることが普通のことになったことだ。コロナ過直前で、技能実習生や留学生など、年間54万人の外国人が来日している。国連では「移動の理由、滞在期間に関わらず、本来の移住地を離れた人々」を移民としていて、この定義に従えば、日本はすでに世界4位の「移民」大国となっている。米国109万人の半分というから驚きだが、私たちに「移民大国」という実感はほとんどない。
 外国人が日本に住むためには在留資格がいる。
「永住者」や「特別永住者」、「技能実習」「留学」など、全部で29種類ある。悪名高い「技能実習」は2009年の入管法改正で新設された制度で、途上国の若者に技術を教えるという名目を謳いながら、実態は低賃金の労働者を確保する手段になった。就労期間は5年で、就労した仕事の変更はできない。
 最新の29番目の在留資格が「特定技能」で、建築や農業など人手不足解消を目的に経済界の声に押されて制度化された。在留期間は5年、技能実習から移行すれば最長10年働けるが「永住者」の資格はとれない。原則として就労はできないが週28時間のアルバイトができる「留学」も、在留資格の一つだ。いまや外国人労働者の半数近くが「技能実習」と「留学」となっている。
 日本が世界有数の「移民大国」でありながら、その実感がないのは、国が彼らを「移民」として認めていないからだ。外国であれ定住すれば、そこに生活基盤や家族も生まれるだろう。人から「労働力」だけを切り離し、外国人労働者を「移民=人」として認めない日本。それでもアジアから多くの若者が日本に渡ってくる。使うだけ使って切り捨てる。このような人道に反する政策をいつまで続けるつもりなのか。「移民」を認めるかどうかは日本が「普通の国」となるかどうか、またアジアに対する私たち日本人の責務の一つだが、その道のりはまだ遠い。



主張

改憲の動きを奇貨に

編集部


 総選挙が終わって、恒例の改憲騒ぎ。しかし、いつもとは少々様相が異なっている。

■いつもとは違う「改憲」への動き
 騒ぎの主役は、あの安倍さんではない。出てきたのは、まず「維新」と「国民」だった。選挙で議席を伸ばしたせいか、ご両者元気がよい。
 しかし、これはあくまで「露払い」。問題は、「横綱」。その「横綱」がすでに動き出している。
 第101代内閣総理大臣、岸田氏の第一声は「改憲」だった。口だけではない。やることも普段の同氏らしからぬ電光石火。細田氏の衆院議長就任にともない空席になった憲法審査会長への森英介氏の送り込み、そして憲法改正推進本部の実現本部への改組とそれにともなう本部長の衛藤氏から古屋氏へのすげ替え。瞬く間だった。
 タカ派の安倍さんならぬハト派の岸田さんのこの張り切りかたは尋常でない。だが、いつもと違っているのはこれだけではない。決定的なのは、この問題に対する米国のスタンスの変化だ。
 もちろん、米国が改憲に対して賛意を表している訳ではない。だが明らかに、改憲に対する米国の利害関係は以前と同じではない。これまで米国は、なぜか改憲に対して、それほど積極的ではなかった。
 しかし今度は違う。米国自身、米覇権の弱体化を認め、その回復戦略として「米中新冷戦」を叫びながら、それへの日本の「共同」「一体化」を強く求めてきている。「台湾有事」は、そのための口実だ。その米国が改憲に消極的であるはずがない。今度は、積極的にアクセルを踏んできているのではないか。

■改憲は何を意味しているか
 改憲勢力にとって、機は十二分に熟している。国会での議席数は、改憲に必要な3分の2を優に超えている。その上、この問題で野党と直接対峙する憲法審査会長、憲法改正実現本部長をハト派で固めた。これなら改憲反対派による審議や議決へのボイコットも起こらず、改憲案の国会通過もスムーズになる可能性大だ。
 あとは国民投票を残すだけ。投票者の過半数が改憲に賛成すれば、それで決まりだ。
 そこで出されてきているのが誰もが反対しない当たり障りのない改憲条項だ。自衛隊の承認や緊急事態法制定、教育無償化、統治機構改革など、わざわざ憲法を変えるまでもないものばかりだ。憲法9条の改定などといった国のあり方を根本から変える、改憲なしには実現不能な条項は一つも掲げられていない。改憲派にとって、その第一の目的が9条の改定にあるのは言うまでもない。「日米共同戦争」を求める米国の要求もそこにある。
 だが、その本当の目的、切実な要求は隠されている。それを掲げれば国民投票での可決が覚束ないからだ。ならば、なぜ今、憲法を変えなければならないのか。目的は改憲の中身ではないのではないか。
 そこで思い当たるのは、今年の4月、菅前首相が訪米した際、米国側が「台湾有事」での日米共同行動を提起しながら、「日米新時代」を強調していた事実だ。この「新時代」は一体何を意味していたのか。
 米国は明らかに日米関係を従来のものから変えようとしている。それは、米国が抑止力、日本は専守防衛という日米安保防衛関係の変更、日本も米国と一体に抑止力の一端を担う関係への転換だけではない。次期米駐日大使、ラーム・エマニュエル氏は、上院外交委員会での指名承認公聴会で「(米中新冷戦は)経済規模で世界首位の米国が3位の日本との経済統合を強める好機であり、この統合が緊密化できれば、きわめて強い力になる」と述べている。つまり、日米経済関係の変更だ。
 今日、米国は崩壊の危機に瀕した米覇権の回復戦略として「米中新冷戦」を打ち出し、日本にその「最前線」を担うよう要求してきている。そこで求められているのは、軍事や経済だけではない、あらゆる領域に亘る日米の一体化、統合だ。
 この日米一体化、統合の新時代、日米新時代にあって、古い戦後からの転換を意味する改憲はその象徴だと言えるのではないだろうか。

■「新冷戦体制」づくりの岸田政権と改憲
 安倍、麻生氏など自民党3A主導で行われた先の自民党総裁選、総選挙を通して選出された岸田政権が「新冷戦体制」づくりのための政権だということはこれまでにも指摘してきた。
 発足した岸田政権のこの一ヶ月あまりの動向は、その指摘が決して的はずれでなかったことを示している。岸田首相が自ら主宰する新しい資本主義実現会議、その下に組織されるデジタル田園都市国家構想実現会議とデジタル臨時行政調査会などの新設は、既存のデジタル社会推進会議や行政改革推進会議、規制改革推進会議などとともに、GAFA支配の下推進される日本の社会と経済のデジタル化、それを軸とする「新冷戦体制」づくりのためのものであり、そうした動きの核に改憲への動きがあると言うことができる。
 だがその一方、本質的にハト派、リベラルの岸田政権が本当に改憲をやるのかという疑念があるのも事実だ。かけ声だけ掛けておいて、最後は曖昧に引いてしまうのではないかということだ。
 そればかりでない。中国と敵対する「新冷戦」を懸念する声も小さくない。それは財界、経済界、自衛隊や自民党の中にもある。
 自民党総裁選では、米国派である3Aにはめられた格好になった二階派も決して潰れていない。それどころか、「新冷戦」についていけない勢力を集めてかえって強化されている感さえある。
 そうした中、岸田政権による「新冷戦体制」づくり、その核としての改憲への動きはどうなるか。
 今は、右か左か、タカ派かハト派かで動く時ではない。問われているのは、米覇権にどこまで付き従っていくのかだ。すなわち、改憲など「新冷戦体制」づくりに従うのか従わないのか、そこには、ハト派かタカ派かなどの違いはほとんど意味をなさないと思う。
 実際、岸田政権が米覇権から離れ、「新冷戦」に背を向けるとはとても考えられない。この政権が皆の声に耳を傾けるハト派的ポーズを取りながら、米覇権の声のみを聞いて、改憲に踏み切ってくるのは目に見えているのではないだろうか。

■「改憲」阻止を「新冷戦体制」打破へ
 今、改憲への動きを押しとどめ、阻止する力は国民にしかない。政界、財界、言論界など、「新冷戦」、改憲に懸念、疑念を抱き、何とかしなければと思っている広範な良心的人士、識者たちも、国民が動き、引っ張ってこそ闘いの道に立てるようになる。それは、最近では、あの2015年、安保法制化反対の闘いでも経験済みのことではないか。ああした闘いを国民投票に向け一大高揚に導き、改憲阻止の国民的流れをつくること、そこにこそ、彼らが立ち上がる闘争勝利への道も開けてくるのではないだろうか。
 闘いは、いつの時代も若い人たちが切り開くものだ。あの6年前の闘いでも、その先頭には若い青年学生がいた。もちろん、あの時も闘う若者たちが降って湧いてきた訳ではない。その前には東日本大震災復興への闘いがあり、特定秘密保護法などに反対する闘争があった。その中から問題意識を持った若者たちが生まれてきた。
 今はどうか。今だって同じだと思う。いや、コロナという災厄の中、若い人たちの未来は一層暗澹としたものになっている。
 鍵は問題の提起の仕方だと思う。改憲阻止の闘いで、今問われているのは、「なぜ今改憲?」にあるのではないだろうか。改憲するまでもないことを改憲条項に掲げ、とにかく改憲しようとするのはなぜか?今まで改憲に反対していた米国が今なぜ賛成なのか?「改憲」と「新冷戦」を結びつけ、皆が、中でも若い人たちがその意味について考えるようにすることが重要だ。
 そして問われてくるのは、生まれた問題意識のSNSなどを通じた拡散だ。6年前もそれが凄かった。若い人たちの声は、瞬く間に全国に広がった。「学習会」が「学習会」を呼び、それが学生から階級、階層を超え、学者、識者から子連れのお母さんにまで実に幅広く広がっていった。
 今あの時の高揚の再現はあり得るのか。十分にあると思う。今、あの時にも増して高まっているもの、それは、われわれの地域、われわれの国第一の意識、当事者意識だ。横浜市長選などに見られたあの意識に訴える時、「日米新時代」の名の下に日本を米国に吸収統合、一体化しようとする「新冷戦」、そして改憲への反対のうねりは全国、全国民の間に広がっていくのではないだろうか。
 改憲への動きを奇貨に、日本のあり方を根本から変える道は広々と開けていると思う。



議論

維新の「統治機構改革」とは何なのか

永沼博


 先の総選挙で44議席を獲得した維新が改憲を強く主張しはじめた。
 維新は改憲の目的を「統治機構改革」に置く。それはどういうものか。米中新冷戦の中、この国の形が大きく変えられようとしている中での「統治機構改革」。維新は何を狙っているのか。

■「地方から国の形を変える」
 維新は「地方から国の形を変える」として、地方分権を進め、道州制による多極分散型の国に変えるとする。それが維新の言う「統治機構改革」だ。「地方から国の形を変える」、それは他ならぬ米国の要求であった。90年代に始まった「日米構造協議」で米国は日本の新自由主義改革として地方分権や規制緩和を強く要求してきた。
 地方分権は、地方と国を切り離すためであり、こうして地方交付金は大幅に減らされ多くの地方が衰退した。
 そして、規制緩和。国は自国産業を守り、国民の生活を守るために様々な規制を設ける。輸入産品に関税をかけ、国民生活を守るために、コメ生産の保護、遺伝子組み換え作物の輸入禁止、地震国としての厳しい建築基準などを設ける。
 米国は、これでは米国企業が入れないとして、その撤廃を要求してきた。しかし国として、そうした要求においそれと応じるわけにはいかない。
 そこで「地方から」崩す。そうすることで国の規制に風穴をあけ、国の規制を空洞化・無意味化する。その意を受けて、安倍政権は「岩盤規制に風穴を空ける」とした特区への外資導入策をとり、さらには、自治体が運営する水道などの運営権を民間に譲渡するというコンセッション方式の導入を進めた。
 それを率先してやってきたのが維新。公営病院や公共施設の統廃合を進め、大阪市大と府大の統合を決め、市営地下鉄の民営化など、自治体が管理する公共事業の民営化が進んだ。
 それは、米国が求める日本の新自由主義改革、それによる日本の米国への吸収統合、日本のアメリッポン化のためであり、維新は、その先鋒隊、切り込み隊であった。

■さらに増す維新の危険性
 米国は今、米中新冷戦を唱え、日本をその最前線に立たせようとしている。次期駐日大使であるラーム・エマニュエル氏は米上院の公聴会で、中国との対決を強調しながら「日本との経済統合を強める」と述べている。それは米国経済に日本経済を組み込み統合するということだ。
 経済が統合されれば、政治も軍事も、日本という国そのものが統合される。もちろん地方も。
 そして、それをデジタル化で行う。岸田政権は「デジタル田園都市国家構想」を打ち出し、これを「地方から起こす」と述べている。ここで問題なのは、そこにデータ主権がないこと。それについては前号で述べたので省略するが、データ主権なきデジタル化とはGAFA支配下に置かれるということである。
 維新は今、「自民は既得権層」と言い、自分たちこそ「改革」政党であることを強調している。デジタル化で「地方から国の形を変える」、その米国の意図を徹底して実現できるのは、自分たちだということである。
 すでに維新は、25年の大阪万博の跡地を使ったスーパーシティ構想を打ち出しており、これを大阪府全体に広げ、さらには、各地の地域政党として、それを全国に広げる構想をもつ。
 その下では公共事業の民営化が進み、自治体運営もGAFAなど米巨大IT企業系列のコンサルタント会社に委ねられる。こうして地方自治が奪われ地域住民主権が剥奪される。
 維新は、日本を国として解体し米国の一部として組み込み統合する戦略の最も先鋭な部隊として躍り出ようとしている。
 今、維新と戦う勢力として「れいわ新選組」への期待が高まっている。「れいわ」は新自由主義改革で見捨てられた人々の政党として新自由主義と戦う姿勢が鮮明だからである。
 その上で、この「地方から国の形を変える」という問題についても切り込んで欲しい。「れいわ」の政策の基底には国がある。その国が解体されようとしている今、この問題を是非、戦いの基軸の一つにして欲しいと思う。


 
議論

半導体産業の再興の道

東屋浩


 「半導体を制するものが世界を制すると言っても過言ではない」として「半導体戦略推進議員連盟」が発足し、政府として半導体産業の再興のために技術研究費を含め8000億円の支出の予定だ(11月25日朝日新聞)。しかし、半導体工場新設基金が6000億円でそこから台湾の半導体大手TSMCが進出するのに4000億円を支援するという。日本企業の半導体への投資の話はない。半導体が戦略物資と言いながら、税金を使って台湾企業誘致を厚遇し、日本企業を興そうとしないのは何故なのか。

■半導体は戦略物資
 半導体は自動車、PC、家電、産業電池、データーセンター、携帯電話など全産業にわたって必須のものとなっており、デジタル化にともない一層の需要が見込まれ、2030年には日本だけでも2020年に比べ倍の100兆円規模が見込まれる。これまで中国で多くを生産されていたが米中対立により中国からの輸入を制限したため、半導体不足が起こり自動車生産などに支障を与えている。半導体の特性は、頭脳の役割をはたすロジック半導体、半導体メモリー、センサーなどのアナログ半導体、パワー半導体の分野に分かれ、各産業の需要別に生産しなければならず、その発展と共に絶え間ない技術開発が必要とされ、古い半導体は不要のものとなるという特徴をもっている。

■日の丸半導体の凋落の原因
 日本の半導体生産は、電機産業の発展とともに、1988年には世界の50%を占めていたが、2019年には10%に凋落した。最先端の半導体水準も大きく立ち後れている。その直接の原因は、1986年と91年の日米半導体協定により、@ダンピングによる価格引き下げの禁止、A米国への輸出禁止、B外国製半導体の輸入割当が定められたことにある。この後、日本の半導体産業は急速に衰退し、米国と台湾、中国、韓国が台頭していった。今日本に残っているのは、半導体生産設備を作る機械技術と一定の人材だけだ。

■自民党政府が描く半導体産業再興の見取り図
 戦略物資である半導体産業が大きく後退したことから、現在、その再興が課題となっている。
 政府は、半導体の再興のために8000億円の支出をするとしたが、米国の5,7兆円、中国の10兆円、ヨーロッパの17,5兆円に比べ、一桁少ない。再興させるためには、10倍の予算が必要だ。しかもその少ない予算の中で、半導体工場立地基金の大半の4000億円を台湾TSMCの工場誘致に支出するという。
 これについて細川昌彦明星大学教授(元経済産業省課長)は、「日本に残っている半導体製作機械を生産する設備と人材、材料を生かすことが再興の道だ」と述べている。10年後には倍の100兆円規模の産業となるが、半導体設計は米国が、製造は台湾・韓国・米国が担い、日本はそれを保障する機械設備と人材、材料を担当していくという。10年間、「国際的連携」の名のもと米国が設計と製造を掌握し、日本はその下請けをやっていくという話だ。これを、日本の半導体産業再興と言えるだろうか。
 日本に設計、製造する技術と人材がないのだろうか。不足していたなら技術開発と人材養成に力をいれ、「日本の半導体産業」を立て直すことが、再興ではないか。少ない予算の中から大半を台湾企業誘致に使うのは愚の骨頂としか言いようがない。その工場建設費用の半分を税金で支援するようなことは、そこに大きな力(米国)が働いているとしか考えられない。日本に設計、製造をさせず、どこまでも米国が掌握するために、台湾企業を日本の金で誘致させるという話だ。
 かつて世界のトップだった日本の半導体産業。米国によりほぼ完全に衰退させられ、今後は、米国の下請けとして生き残る道しかないのだろうか。それは、エマニュエル次期駐日米大使が述べた「日米経済の統合をはかる」を、戦略物資である半導体産業から実現していくものといえるのではないだろうか。
 半導体産業まで掌握されれば、日本独自の経済の発展はありえない。これが日本を米国に吸収統合・一体化させる「米中新冷戦体制」の一環であることを忘れてはならないだろう。
 日本の半導体産業の再興の道は、「新冷戦体制」から脱して、設計、製作まで含め日本の力でおこない、そのために国家的投資を大々的におこなうことだと思う。



随筆 二病息災(3)

本血戦

平 和好


 6月末の「二病あり診断」から1カ月たってS字結腸がん治療の方針が決まった。
 1カ月後の8月下旬に入院、末日に執刀。コロナ禍に政府の無策によりどの病院も大混乱で、特に入院・手術の「大渋滞」が起こっているという。予想できた事なのに病床数削減がてきめんに作用している。一刻を争う人はもっと大変であろう。

■いよいよ執刀
 がん摘出と思っていたら大変な思い違いだった。医師がくれた治療説明書を見ると「S字結腸切除」とある。S字結腸は並行に走り、お尻へ落ちていく直前の部位だ。がんが発生したところを中心に、相当な長さを切り、摘出し、短くなった腸を縫い合わせる、考えたら合理的な方法である。分からないことだらけの私はフェイスブックやメールで経過を公表し、友人の皆さんに意見を求めた。意外とS字の経験者が多かった。そしてその後変わりなく生活を送れている。亡くなった例は少なく、転移が激しかった人だったようだ。転移しても、リンパ節も取って6年元気な先輩もいた。
 病気の話だから陰気で嫌がる人がいるかもと心配したが、お話が盛り上がって、経験も聞けて明るい気持ちで手術を迎える事が出来た。今回もゆったりできる個室を頼んだのも、心の安定が病状を悪くさせないと考えたからだ。支払いは心配だが、前回も払えたし、何とかなるだろう(植木等ふうに ^^♪)病院で出る健康食の毎回写真がこれまた好評だった。自戒にも「もって他山の石」にもなるし、お勧めしたい。
 誤算が入院保険。見積額より十数万低い。65才までなら契約書に確かにあった補償が削られている。思い違いで病気入院には出ない事が判明したものもある。まあ仕方がない。
 読者の皆様、病気の診断が確定するまでに内容を正確に把握しておく事が必要だ。
 共済などの比較的安いものでも良いから入院一日1万円、三大成人病になったら一定の額が出るものにしっかり入り、生活が苦しくても途中でやめないよう、そして年齢が進んだら無くなる保障が一杯あるので、契約書類を常時チェックしておかれたい。

■手術
 全身麻酔は気持ち良い。点滴が効きだすとすーっと意識がなくなる。目覚めたら終わった後で、かけつけた愛妻の声で目が覚めた。「腸を一杯切ったらしいよ」…目が覚めたという事は死ななかったのだからめでたい、よかった。手術が済んだら集中治療室に約1日入る。と言ってもユックリ寝させてもらえるのは15時間ほどだ。手術終了が午後2時、翌朝超早朝5時に看護師がやって来た。「脚を曲げ伸ばしするのはOKですよ」つまり脚の運動をしなさいという事だ。そのあと2時間ほどしたらまた来て右へ寝返りの練習。さらに2時間したら反対側に寝返り。手術後20時間後は「ちょっと起きてみますか?」ちょっと痛いが「痛み止め打ってるので安心して立ってください」。22時間後には元の病室に歩いて帰った。1日寝ると運動感覚が戻るのに2日要すると聞いていたので、納得してしまった。

■リハビリ!二病息災!
 経過観察の第一は、切ってつなぎ直した腸が動きを再開するかどうかだ。お腹の音を聴診器で聞き、ゼリー食・おかゆと進んでお通じがあれば良いのだ。幸い、順調に推移し、大きな痛みもないまま6日後には退院できた。2週間以上いられては病院の収入が無くなるので、スピードリハビリなのだ。不思議にも薬無しで糖尿病数値は改善。点滴の針も早期に外れ、最後の2日は退院準備みたいなものだ。退院して帰宅するのに15分ほどだが、半日運動したような疲労感に襲われる。院内散歩と外界はやはり違うのを痛感した。退院後すぐ市民運動と選挙闘争に突入、一定の成功を経験し、今は「生還」の喜びに浸っている。



投稿

選挙ボランティアを終えて

彩生


 応援したい人がいる。
 れいわ新選組の大石あきこさんです。応援したくて、選挙活動の間だけ、ボランティアで写真を撮らせていただきました。政治に期待ができない時代の中で、応援したい政治家がいると言うことは、本当に素敵な事だと私は思います。これまでカメラマンとして選挙ボランティアに関わった事はなかったので、今回はその厳しさも改めて感じましたが、なによりも自分が応援したい人を間近で撮影できた経験は、私自身の力になったと感じています。
 演説で大石さんが言った「自分は絶対にあきらめたくないんですよ。この生きにくい世の中、みんなと変えたいから」という言葉。この言葉をファインダー越しに聞いた時に、今の社会を「生きにくい」と言い切れるこんな人が国会に必要なんだと強く感じました。この国は本当に腐っているけれど、大石さんが比例で当選とわかった瞬間は「まだ腐り切ってないのかもしれない!」と希望も感じました。
 やっとここからが始まりです。勝手な願いだけれども、大石さんが議員になった今、ボランティアから秘書になった方、現在もボランティア活動されている方も「れいわ新撰組ってめちゃ一生懸命働いているやん」と路上でみている人々にみせつける勢いがこれからも必要です。「税金の無駄遣い」と言わせない働きを大石さんだけに望むのではなく、一緒に働くみんなが同じ意志で戦い続けてほしい。
 そして、私は希望を込めて選挙期間はシャッターを切り応援をしたけれど、ボランティアは生活に余裕がある人や学生でないと正直厳しい事も多いと思います。もっと学生が政治のボランティアに関わる事が当たり前になり、政治家に力があるのではなく「私たち国民の力で社会は変化する!」その事を私の世代やもっと若い世代に体感して欲しいです。
 維新により「身を切る改革」と言いながら「木を切る改革」(民間企業が管理するようになった大阪城公園では、自然よりも収益が優先されるようになったため、有料の遊び場を設置するために1200本の樹木が伐採されて、これでは「身を切る改革」ではなく「木を切る改革」だと批判を浴びた) を進める大阪市が変化する日がきっとくるはずです。



読者より

衆院選2021の余白

コマプレス・朴敦史


 衆院選2021,大勢ではよくない結果でしたが、個々にはよい結果があったと思います!
 れいわの躍進、香川1区、東京8区などの局所的勝利はインパクトが大きく、今後の議員活動も注目されることでしょう。
 とはいえ無党派層の左右の判断力のなさは、かなりのリスクですね。極右維新が改革派?笑えませんが、そう思っている人たちがいかに多いか。
 東京新聞の記事(11月1日付)でみましたが、自民党の得票数は十数年、あまり変化していないらしいです。投票率の増減によって、政権交代が起きたり(69%、2009年)、自民党政権が復活したり(59%、2012年)するようです。この構造をこそ改革してゆくほかないのでしょう。
 ドイツ総選挙では現代の問題が争点化されました。分厚い中道がそれをすくいあげた格好です。社会民主党、緑の党、自由民主党の三党連立が合意され、さっそく最低賃金の引き上げ(時給12ユーロ=約1500円)、環境対策の加速、富裕税の導入見送りなどが表明されました。ちなみにドイツの自民党は財界寄りの政党ですが、外交分野に優れた実績があります。メルケル引退に伴い、保守票の一部が緑の党や自由民主党に流れたようです。一方、最左派の左派党は得票数を減らしました。極右(ドイツのための選択肢)も票を減らしています。そう考えるとドイツの中道は左右に幅がありますね。投票率はなんと76・6%。女性議員の割合は35%、80年以降生まれの議員も30%を超えているそうです。
 かなりざっくりした見方なのですが、長期的な目で見ると日本は大きな災害のあと、極端な反動化を繰り返しているような気がします。
 東日本大震災後、民主党政権が壊滅的敗北。第二次安倍政権が誕生しました。石原慎太郎が再選した都知事選もあります。95年の阪神淡路大震災後、一年あまりで社会党が消滅。自社さ政権も98年には崩壊し自民党政権が復活。ジェンダー問題や日本軍慰安婦問題へのバックラッシュもこの頃から激しくなってきます。
 考えれば、戦前の大正デモクラシーにトドメをさしたのは、関東大震災(1923年)だったのかもしれません。その法則?でいうと、今回、有権者はコロナ禍のスケープゴートとして立憲民主党に罰を与えるかのような投票行動をしたという気がしないでもありません。
 維新の議席増は保守層が極右化した結果でもありそうです。中道化したドイツとはあまりに対照的ですね。結局、有権者もアップデートされていなかったのです。
 若い世代の関心は確実に切実なほど変化しています。ジェンダー、LGBTQ+、環境、格差問題など。書店では、そうした分野のコーナーに立ち止まる若い世代が明らかに増えました。良書の出版も相次いでいます。これが投票行動と結びつくようになればいいのですが・・・。
 ただあまりに社会構造に未来がみえない・・・。
低賃金労働、関係性からの疎外、生きていることそのものの負債のような、高額の家賃、公共料金、税金、サブスクリプション料金ほか手数料。
 超国家的資本が国家を超えつつ、巧みに共謀する搾取構造がますます精緻になっています。これをイギリスの政治理論家キア・ミルバーンは、現代の「封建制」、「寡頭制レント主義」と呼び、若い世代は「ジェネレーション・レント(賃貸世代)」でもある、と言っています。
 東アジアの次の局面は、来年2月の韓国大統領選ですね。もはや茶番を通りこして、ナンセンスそのものの様相を呈していますが、どうあっても保守勢力に権力を再び与えてはいけません。ただ、韓国の市井の人々も歴史的方向感覚を失い頼りない...。破滅的な投票行動をしかねない。先般のソウル市長選がまさにそうでした。若い世代の投票率が高くなりそうなのはよい材料ですが、韓国の人たちが正気を保つことを祈るばかりです・・・。


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