研究誌 「アジア新時代と日本」

第188号 2019/2/10



■ ■ 目 次 ■ ■

編集部より

主張 どうする最悪の日韓、日朝

議論 大国にいいように利用される安倍外交

闘いの現場から IR(統合型リゾート)と称する賭博場建設

寄稿 ぼやきます

後記 「4K」「6K」って?

年賀状紹介




 

編集部より

小川淳


 沖縄辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票が2月24日行われる。周知のように当初不参加を表明していた沖縄市など5市が、「賛成」「反対」に加え「どちらでもない」の3択になることで不参加を撤回し、全県での実施となった。二択の場合、「賛成」か「反対」の二つしかなく、賛否が明確になることを自民県連などが嫌った為であることは明らかで、「どちらでもない」を付け加えることで、「反対」を過半数にさせないための姑息な一手だ。過去の条例による住民投票425件の内、中間的な選択肢が実施されたのは6件で、最も多数を占めたのは12%であったという。そもそも「どちらでもない」人は棄権するか白紙で投票するだろうし、選択肢としてはまったく意味がない。
 住民投票は仮に反対派が多数を占めても法的な拘束力はない。しかし、拘束力はないが過去の主な住民投票を見ると、その結果は小さくなく、大きな威力を発揮していることがわかる。例えば新潟県巻町の原発建設の是非を争った住民投票では反対派が勝利し、原発建設は中止に追い込まれている。柏崎刈羽原発プルサーマル計画の撤回を求める住民投票も、反対派が勝利しプルサーマル計画は撤回されている。最近の例でいえば、大阪都構想をめぐる住民投票では同じように反対が多数を占め、当時の橋下市長(維新代表)は辞任に追い込まれた。大阪維新はこれに懲りずに再度の住民投票を目論んでいるが、一度示された民意を再度問うことの正当性が示される必要があり、往生際が悪すぎるのではないか。沖縄の基地を巡っては、普天間基地の返還にともなう海上ヘリポート建設案が反対多数で、名護市長が辞任に追い込まれている。
 辺野古の基地建設の是非を巡っては過去二度の知事選で反対派が勝利している。基地反対の圧倒的な民意が示されても、知事選であり辺野古の基地建設への是非が問われたわけではないと開き直り、埋め立てを強行する安倍政権に、今回の県民投票で圧倒的な「NO」を示す必要がある。反対派が勝利するなら、安倍政権も沖縄の民意を露骨には無視はできず、大きなダメージとなる。今回の県民投票に一番の危機感を持っているのは安倍首相であるだろう。
 折しも、2月末には、二回目の朝米首脳会談がベトナムで開催される。朝鮮半島は今やっと「統一と平和」の新時代を迎えつつある。東北アジアでの「分断と敵対」の歴史の象徴である沖縄の米軍基地に「NO」を突き付けることは、東北アジアの新時代への大きなステップになるだろう。沖縄県民投票の行方に注目したい。



主張

どうする最悪の日韓、日朝

編集部


 100年前の3月1日、日本による植民地統治が始まってから10年の朝鮮で、その支配に反対する全国的規模の一大示威闘争が開始された。数か月にわたり、おびただしい血を流してくり広げられたこの闘いにもかかわらず、1910年武力を背景に締結された「日韓併合条約」が国際法上合法だとする日本側の認識に変化はなかった。
 以来、この歴史認識は、第二次大戦での日本の敗北を経ながらも、今も続いている。
 そうした中、これまで悪化するだけ悪化してきた日朝関係に加えて、今、日韓関係までが最悪になっている。
 最も近い隣国との関係が、最も遠く険悪なものになっている。この軽視できない事態の進行にどう対処するのか、日本の政治が問われている。

■なぜ今、最悪の日韓関係なのか?
 これまで日韓間に問題がなかった訳ではない。それどころか、多々あった。しかし、それらは矛盾や曖昧な点を多分に残したまま、政治的決着や妥協が図られてきた。朴槿恵政権にあっては、日韓関係の悪化を憂慮し、徴用工や慰安婦訴訟の判決が破棄、先延ばしされるなどしていた。
 ところが、文在寅政権になって、そのあり方自体、完全に様変わりしている。徴用工問題の抑制が図られるどころか、逆にそれが問題化されるよう、大法院長官に革新系地方裁判所長の異例の抜擢が図られ、逆に、徴用工や慰安婦問題の抑制を図った前大法院長官などが逮捕された。
 そこで問題にされているのがこの変化の要因だ。文在寅政権はなぜそうするのか。ポピュリズムで人気取りをしているのか。それとも、「北」に弱みを握られ、従わされているのか。
 想起すべきは、この政権がどのようにして生まれてきたか、その成立経緯だ。
 周知のように、文在寅政権は、朴槿恵大統領を弾劾する「ろうそく革命」から生まれた。そこで見られたのが「政党が大衆を動かしたのではない。大衆が政党を動かしたのだ」という、今、世界的範囲で見られる「新しい政治」現象だ。
 文在寅政権の行動からは、その現象が政権樹立後にも続いている姿が見えてくる。すなわち、この間の一連の韓国政治を動かしているもの、それは韓国民の民意に他ならないということだ。
 この見地に立った時、今、朝鮮半島を中心に東北アジアで起きている時代的転換で、文在寅政権が果たしている積極的な役割についてもよく分かるようになるのではないだろうか。
 少し回り道をしたが、最初の疑問への答えは、こう言えるのではないかと思う。すなわち、語弊を恐れずに言えば、最悪の日韓関係、それは、民意が政治を動かす時代、「新しい政治」の時代の産物であり、韓国民意の現れそのものだと。

■歴史認識の違いがもつ決定的な意味
 韓国民の民意に従う文在寅政権は、従来の日韓関係のあり方を否定しながら、日韓間の矛盾、対立を隠蔽するのではなく、元徴用工の日本企業を相手取った損害賠償請求を認めるなど、それを逆に問題化する道を推し進めている。
 これに対する日本側の反発、怒りは普通でない。「国家間の取り決めを政権が変わる毎に変えてよいのか」「国際法上の大原則の違反だ」等々、与野党一体となっての文在寅政権攻撃だ。
 こうして生まれた最悪の日韓関係にあって、重要なのは、韓国民に対する一方の政治の主体、日本国民の反応だ。日本国民はこの事態をどう受け止めているのか。それは決して、韓国民の問題提起を快く受け止めるものにはなっていないように思う。それどころか、かなり冷ややかで険悪なものになっているのではないか。「それはもう、国際法上決着の付いた問題ではないのか」「いつまで謝罪しろと言うのか」、等々。
 そうした両国国民感情の食い違いの底には、お互い相手の立場に立ち、相手を理解するなどといった、通り一遍で一般的な方法では解決されないものがあると思う。
 よく言われるように、それは、歴史認識の違いとして具体的に提起されているのではないだろうか。すなわち、日本は、先述したように、自らの植民地支配を認めても総括してもおらず、したがって、謝罪してもいないということだ。日韓基本条約の付随協定として結ばれた請求権協定で、日本から韓国へ渡されたカネがどこまでも「経済協力金」と表現され、「賠償金」とは言われていないところなどにもそれは端的に示されている。
 1965年、条約締結時、韓国民の間で広範で激烈な反対闘争がくり広げられたのはそのためであり、「いつまで謝罪すればよいのだ」という日本国民の間で一般的な思いがそうした歴史認識を踏まえたものではないのも明らかだと思う。
 最悪の日韓関係からの脱却、そのための鍵は、それぞれの政治の主体である日韓両国国民の和解にあり、そこで決定的なのは、両者の歴史認識の共有にある。民意が政治を動かす「新しい政治」の時代、関係改善への展望は、そのように開けているのではないだろうか。

■日韓と日朝、二つの「最悪」の同時解決を!
 最悪の日韓関係について見る時、その背景にある東北アジア新時代とそこにおける南北朝鮮の緊密な連携について考慮しない訳にはいかない。朝鮮による関与説が出てくるのもその辺からだ。
 トランプ大統領の一般教書演説で明らかにされた2月27、28日、ベトナムでの第二回朝米首脳会談がどうなるかは分からない。しかし、この動きを通して、戦争と敵対から平和と繁栄へ、東北アジアの時代的転換が図られてくるのは間違いないと思う。
 この転換をめぐって、朝鮮の意思と韓国民の民意の間に大きな違いがあるとは思えない。両者ともにそれを求めているのではないか。
 古い時代から新しい時代への転換、南北朝鮮と米国、中国、等々、国によって、それにかける思いに違いはあるだろう。しかし、共通の歴史認識に基づく南北の時代認識には、重なり合うところが多分にあるのではないか。
 南北朝鮮にとってそれは、戦後70有余年、南北分断の歴史に終止符を打つ転換や日本による植民地支配に歴史認識まで含め最終的に決着をつける転換にまでつながっているのではないだろうか。文在寅大統領が今回の徴用工問題などに触れながら、「歴史を正す」と言ったのも、そうした意味まで含めてのものではないかと思う。
 こう考えると、最悪の日韓関係は、最悪の日朝関係と深く重なり合っている。今や、この二つの「最悪」を同時に解決することが求められているのではないだろうか。

■問われる歴史認識と時代認識
 日韓関係と日朝関係、最悪の二つの関係を同時に解決する上で切実なのは、歴史認識と時代認識、この二つの認識だ。
 今日、安倍政権は、この二つとも持ち合わせていないように見える。百年来の歴史認識も、この間の事態発展に関する時代認識もあるようには見えない。徴用工問題や慰安婦問題で「国際法上の大原則」を居丈高に振りかざす一方、東北アジアの地殻変動、時代的転換に対し右往左往する様は、そのことをよく示していると思う。
 東北アジア新時代で完全に「蚊帳の外」に置かれた安倍首相は、今、「日朝首脳会談」の実現に躍起になっているようだ。だが、問題解決の鍵はそれとは別のところにあるのではないだろうか。
 歴史認識と時代認識、この二つの認識を持つことこそが、先述したように、先決だと思う。だがそれは、安倍政権だけでなく、今の日本の政党、政治全体にとって、決して容易なことではないように思える。
 あの「3・1蜂起」以来百年、日本の歴史認識は変わらなかった。政権、政党だけでなく、明治以降の歴史の真実に目を向けるのを妨げられてきた日本国民も、自らのアジア侵略の真相も、日本が自身の植民地支配を総括も謝罪もしていないという事実も知らないでいる。
 正しい歴史認識に基づかない政治、政党、国民が、正確な時代認識を持ち得ないのは必然だ。今の日本の時代錯誤はそのことを物語っている。
 今日、時代は、各国国民が自らの国と国民を第一に、自分自身、自国の政治、政党を動かす「新しい政治」の時代だ。この歴史の新時代にあって、日本でまず問われているのは、政治の主体となる日本国民自身が正しい歴史認識と時代認識に基づいて日本の政治を動かすようにすることだと思う。
 そこに、朝鮮に対する植民地支配から始まった脱亜入欧、従属覇権の古い日本史を終わらせるための鍵があり、新しい日本の実現へ、その突破口が開けているのではないだろうか。



議論

大国にいいように利用される安倍外交

東屋 浩


 この間の日本外交は、日韓・日朝関係は最悪なものになり、米中ロやEU諸国との関係だけは進展しているかのようにみえる。1月28日衆参両院で安倍首相は施政方針演説をおこない、日米関係については従来通り「外交・安全保障の基軸」として位置づけ、中ロについては「完全に正常な軌道に戻った」と評価し、とくに対ロシアでは「首脳間の深い信頼関係」の上に領土交渉を加速させるとしている。対中関係も習近平主席の訪日が予定されている。ドイツなどEU諸国との関係も良好のように見える。  だが、対米関係は「基軸」足り得、対中対ロ関係は「正常な軌道に戻った」のだろうか。米中ロ、さらにEU諸国、いわゆる大国との外交関係を検討してみたいと思う。

■「地球を俯瞰」し首脳外交を誇る安倍首相
 日本は世界3番目の経済力を有し、8番目の軍事費をかけている大国だ。日本の諸外国に対する経済援助は非常に大きい。アフリカ諸国や太平洋の島々の国にたいする援助、そのほかODA(政府開発援助)が中東、南米諸国、東南アジア諸国になされている。
 安倍外交の特徴は各国の首脳との親密な関係を誇示する首脳外交だ。トランプ、プ?チン、習近平、メルケル首相などなど。各国首脳との数十回におよぶ首脳外交は、安倍外交の成果を誇示しているように見える。
 アメリカとEU諸国、中国が対立を深めている中にあって、安倍首相はどちらにも良い顔をしている。アメリカの戦闘機購入などを大々的に行いながらアメリカとの関係も「良好」だし、ダボス会議(24日)では「グローバル化を日本が牽引する」と演説し、旧来の国際貿易秩序を守ろうとする安倍首相は、EU諸国、中国にとって「頼れる存在」となっている。
 一見、朝鮮、韓国との関係を除いて安倍外交は、世界において他国にまさる外交成果をあげているように見える。
 はたして本当にそうなのだろうか。

■大国にいいようにされる安倍外交
 従来、対米関係は「日米基軸」という名でアメリカに言われるがままの外交だった。しかし、安倍首相の最近のそれは極端にひどくなっているのではないだろうか。「日米の完全な一致」の内容はと言えば、戦闘機やミサイル防衛装置の購入などアメリカの言うがままになる「一致」だ。さらに日米貿易問題では自動車輸出と引き替えに農産物輸入の大幅な規制緩和がなされるのが目に見えている。そのうえ、漁業権、水道事業の民営化など、地方から外資に日本が売られ食い物にされるようにしている。一言で、安倍対米外交はアメリカに日本を売る外交だ。
 対ロシア外交の基本問題は、平和条約締結の問題だ。戦後、74年も経った現在なお、第二次大戦の戦後処理がなされてこなかった。それは、アメリカの対ソ連包囲網形成に日本が従ったところに要因がある。対ソ敵視政策の口実として領土問題が使われた。
 領土問題でいえば、サンフランシスコ条約で日本は千島列島・南樺太領有権を放棄した。それゆえ、ロシア外相が、「日本は敗戦の結果、北方領土を失った。それを認めよ。それが交渉の前提条件だ」というのも一理ある。しかも、日米安保条約に任意の場所を在日米軍基地に提供するという項目があるゆえ、2島返還はありえないとロシア側は述べている。日本政府はそれに何も言えないでいる。
 だから、25回のプーチン大統領との首脳会談を経ても、対ロシア経済援助しか決めることができなかった。主体・主見がないから、相手に媚び、いいように利用されるしかない。
 日本としてはまず平和条約を結び、友好関係を発展させたうえで、領土などの懸案問題を解決していくべきではないだろうか。
 中国との関係では、日本外務省は最近までの対中対抗路線を改め「協力・競争路線」に転換させた。それまでは、アメリカの対中敵視路線に合わせて、「一帯一路」に対抗する「自由で開かれたインド太平洋構想」に力を入れ、フィリピン、ベトナムに警備艇を供与し、オーストラリアとの軍事協力を強化してきた。しかし、中国とは経済関係において輸出入とももっとも依存しており、中国と離れての日本経済は考えられない。それゆえ、一定の関係改善は時間の問題だったと言えよう。
 中国の対日関係強化の背景には、米中関係の悪化、とくに先端産業からの中国締めだし政策がある。アメリカは、先端産業の対中輸出を禁止し、中国留学生を制限する措置をとり、自国の先端技術の流出を防ごうとしている。そのため、中国は日本企業を格好の「獲物」とみなし、日本企業から技術導入、高い技術をもつ日本企業の買収、日本学会への加入など、日本を焦点に合わせた先端技術獲得を狙っていると言われている。(「選択」2018.12月号)中国との関係においても、日本は利用されそうなのだ。
 利用し利用される関係ではなく、アジアの隣国として相互尊重のうえに友好親善関係を築いていけないのだろうか。
 いくら首脳間で親しい関係を築いても、国益を売り、言いように相手国に利用されるようでは、親しい関係とはいえない。媚びを売っているだけの外交だ。だから、欧州で安倍首相をさして尻尾を振って愛嬌をふりまく「プードル」と揶揄しているのも頷ける。
 これでは国の尊厳もなにもない。国としての面貌をまったく失っている。

■なぜ大国に利用される外交になるのか?
 それは大国が国際政治を動かすという大国主義の考え方に起因していると思う。安倍首相が米中ロなどの大国に振り回され、他方、朝鮮・韓国を蔑視するのは大国主義そのものだ。それは、明治以来の脱亜入欧路線の継続でもある。
 しかし、大国の横暴は反撃を受けてきたし、現時代は覇権そのものが通用しなくなっている時代だ。シリアやアフガニスタンからの撤退、米韓軍事演習の中止はそのことを物語っている。平和と繁栄の東北アジアの新時代を拓いたのは、アメリカを動かした朝鮮、韓国であり、米中ロの周辺大国ではなかった。
 それゆえ、大国の目ばかり気にする安倍外交は、まだ覇権が続いているという完全に立ち後れた時代錯誤の外交だと言える。
 安倍首相が大国にたいし言いなりになり利用されるのは、時代の流れに立ち遅れているだけでなく、日本の国益、日本独自の立ち位置を確固と守り堅持していこうとする日本の政治家、首相としての気概と意志をもっていないからだと思う。望むべきも無いことかも知れないが。
 安部首相は、自分が「できる首相」と映りさえすれば、国の利益がどうなろうとお構いないしだ。それは「お友達」に国の資産を与えるのと軌を一にしている。
 安倍首相が「世界で活躍」すればするほど、実は世界から嘲笑を浴び、日本の国益、国民の利益が大きな損失を蒙っている。
 各国にはそれぞれの国益があり、考え方の違いもある。そのなかで、友好と協力関係を発展させながら、自国の国益を守り世界の平和と繁栄に貢献していくことが国際関係でもっとも重要なことだと思う。
 言い換えれば、世界の一員、アジアの一員としての地位と役割を果たしながら、それを通して自国の国益を守り国を発展させていくことこそが、外交の使命だということができる。
 安倍首相のように大国だからとして譲歩し、小国だからとして横柄に対応するのは、他国を国として尊重していないばかりか、日本の国としての尊厳をも傷つけている。
 外交成果を売り物にしてきた安倍政権の行きづまり、化けの皮が剥がれるのも時間の問題と言えるだろう。


 
闘いの現場から

IR(統合型リゾート)と称する博打場建設

平和好


 昨年、国民の7割の反対を押し切り成立したIR法にもとづき、万博とセットのカジノ建設が大阪で進められようとしている。

■万博は本当にバラ色か?!
 「期待高まる」万博は2025年だ。3千200万人の動員を目論んでいるらしい。実は1970年万博では3千万人の当初予想に倍する6千万人以上がおしかけた。夢よもう一度、となる気持ちも分からないではない。東京一極集中で関西経済が沈滞の一途だからなおさらだろう。
 ところが冷静に専門家が検討すると見通しが暗いらしい。70年万博で入場者の大人気は「宇宙開発のソ連館」「月の石を展示するアメリカ館」であり、肝心の日本館はそれらの何分の一に過ぎない。膨大な入場者を運んだ御堂筋線の地下鉄、新御堂筋の道路は今なお市民の役に立っているものの、経済の面で見ると同時に整備された東海道新幹線は一定の便利を供したが、東京一極集中がこの49年の間に進み、大阪圏の経済的地盤沈下に大きく「貢献」してしまっている。建国以来戦争ばかりしているアメリカがそのたびに一時の好景気と永年月の不況と借金地獄の悪循環に陥っているのと似ている。

 2025年万博に経済効果を求めるのはしんどいようだ。まあ、そんな暗い予測をしても気の毒なので、これぐらいにしておくが、道路・トンネルもか細く、自然災害が起これば海中の孤島となる舞洲に毎日5〜10万人が半年間毎日来てくれて延べ3千万人で採算が取れるというのは、いかに妄想に近い願望である事か・・・何とか収支トントンを祈りたい(笑)。

■背後に隠れる賭博場建設が巨大なネック
 公費でパチンコ屋を作ったら非難ごうごうだろう。それを府・国がやろうとしているのがIR=統合型リゾートと称する賭博場建設。万博の為と言えば作りやすいのだ。7万8千uの敷地は阪急梅田店と同規模らしい。阪急百貨店は各階に種々の店舗が入るが、8階建てに種々の賭博機が林立する光景を想像していただきたい。1階はルーレット、2階はスロットマシン、3階はバカラの海・・・採算ラインは年間、900万人の日本人、400万人の外国人が押し寄せる事だという。「人の不幸で金儲け」の賭博場作りが破綻しない見通しを描くのが極めて難しい。万博が終って、賭博場と膨大な借金と異次元のギャンブル依存だけが残りそうな予感が激しすぎる。それでも「儲かったらええやん」と言う人にお知らせしておこう、利益はアメリカの賭博総合巨大資本がすくい取る。これらは勝手な想像ではない。
 遠大な構想、甘い見通しに基づき巨額の公費と民間資金をつぎ込んだすえ破たんした例には、大阪湾は事欠かない。WTC、ATC、りんくうタウン、ゲートタワー、数々の土地信託事業などなど。自公維の政治家がそれらに責任を取った例をご存知の方は浅学非才の私に教えていただきたい。なお、カジノのギャンブル依存症被害は大王製紙御曹司の例を見ても分るが、パチンコの100倍以上だ。

■この悲惨を回避する唯一の道
 何事にも救いは有るものだ。もちろん神仏の救いではない。我らの税金をどぶに捨てる政治家を減らし、それを福祉・子育て・医療・防災に使うと宣言する政治家を議会に送り込むことしか、今はない。
 その素晴らしい機会が4月7日(統一自治体選挙前半)、4月21日(後半)に来る。7月にやって来る参議院選挙もだ。その時に支援しても実は遅い。今すぐ自分でその救い主を探して積極応援しよう。もちろん「大阪の子を勝負強い人間に育てる」などとぬかす博徒並み知事や子分の大阪市長は今年必ずある審判の日に、十字架にかかってもらおう。府の赤字一時解消のために国費投入を密約する総理官邸の一味もだ。



寄稿

ぼやきます

模役 蔵


 日本にとって好ましからざる法律をいくつも作って来た安倍政権がついに改正入管法を成立させた。
 実質「移民法」だと言われても頑なに認めようとしない安倍政権。安倍政権の支持者も含めてすこぶる批判が多い。
 1990年代初頭、日本は将来移民を大量に受け入れないと立ち行かなくなると、移民受け入れの検討を迫ったグローバリズムの旗振りをしていた海外の著名な人士がいた。
 そのような時代はまだまだ先のことだろうと考えていたのだが、グローバリズムの弊害が顕著になり、その終焉が囁かれ始めたこの時期に何でまたこんな法律を通すのかと嘆かざるを得ない。
 世間の反対の理由も様々だが、ヨーロッパなどの現状から、外国人との共生は幻想にすぎないという考えに対しては違和感を覚える。この法律には外国人労働者を単に低コストの機械と同様に考える身勝手で浅はかな底意を感じる。日本のご都合主義が垣間見える。
 現在、技能実習制度があるが、これも問題が多い制度である。名目では技能移転などといわれているが、実質、低賃金の労働力確保の手段に過ぎないことは明らかである。その証拠に労働環境の厳しさから7000名にのぼる失踪者がいるとの指摘があるではないか。あーあ。
 かつて3Kといわれた職場の補充のための制度として、これもご都合主義として考えられた制度なのだ。今回の法律は悪い意味でのその発展形では無いのか?
 日本人が働きたくない職場は外国人も働きたくないのは道理であろう。そこに嵌め込んで、今後少子化が予想される日本社会維持の一翼を担わせようなどとはとんでもない了見違いである。
 誰がこのようなさもしい発想で、恥ずかしいことを考えるのだろうか?日本人として恥ずかしいという声が周りからも聞こえてくる。
 本当に労働人口は不足しているのだろうか?雇用のミスマッチという意見もあるではないか。
 まだ、眠っている労働人口があるとも聞く。1億総活躍社会と謳っているのは現政権ではないか。眠っている労働人口を引き出す手立てをとるのが先ではないのか?
 では、このような人を人とも思わないことを誰が考え、実行しようとするのか?やはり、利益が先行する企業経営者・財界か?かつて、「企業は人成り」という文言があったような気がする。今や、「企業は利益のみ」ということか。まったく嘆かわしい。
 政府はデフレを脱却して成長軌道に乗せようとして、庶民の楽しみである貯金の利息を奪ってまでゼロ金利をしている。しかし、一向に景気は良くならない。数字のトリックで景気は良いと言われても、賃金は一向に上がらない。むしろ実質賃金は減っているという。一方、大手企業は内部留保拡大の一途だ。
 給料が上がらなければ購買意欲は上がらない。当然消費は増えない。GDPのエンジンである内需は拡大しない。景気は良くならない。給料を上げる力はあるのになぜ上げない?
 正規と非正規の格差はもっと深刻だ。将来の社会保障制度の根幹に関わる大問題だ。
 嘘か本当か国が社会保障制度の心配をしてこれまで禁じ手としてきた「移民法」をごり押したとの声も聞く。
 これは何か変だ。企業は利益を積み上げているのに国民は疲弊し国はその対応に社会保障制度破綻の心配をしている。どう考えても問題は内部留保を拡大し続けている大企業であろう。そこに手を付けず、格安労働力確保の「移民法」?
 一体企業って何なんだ?誰のものなんだ?経営者って単なる守銭奴なのか? 企業に社会的責任は無いのか?
 頭の中はグルグル回ってぼやいてもボヤイテもぼやきは止まらない。
 あ〜あ…



後記

「4K」「6K」って?


 模役さんの文章にも出てくる「3K」。「きつい、汚い、危険」を表わした言葉だ。嫌われる職場、職種に対して「3K職場」「3K職種」などと使われた。1980年代末期から普及し1989年には流行語としてノミネートされている。  IT業界の「3K」は、(諸説あるようだが)「きつい」「厳しい」「帰えれない」だそうだ。その他にも「気が休まらない」「キリがない」「結婚できない」などなど。
 「4K」は「汚い、きつい、危険」に「給料安いが」が加わったもの。
 余談だが、女性にとっての「理想の3K」と言うのもあった。「高身長、高学歴、高収入」。今は「顔、金、車」だそうだ。
 そして「6K」。「3K」+「給料が安い」「休暇が少ない」「カッコが悪い」だそうだ。(朝日新聞社発行「とっさの日本語便利帳」)。
 因みに「老後の3K」と言うのもある。知っていますか? 「健康」「金」「孤独」だそうな。
 なんか「か(K)行」が気の毒になってきた。
 「働き方改革」「生涯現役」「全ての女性が輝く社会」安倍内閣の打ち出す「標語」だが、「K」が増えるばかりの現実とのギャップがあり過ぎはしませんか。
 今後5年間で最大34万5千人まで受け入れるとされる外国人「技能実習生」、主に介護や建設、外食産業に重点配置されるとのことだが、日本人の代わりに「4K」「6K」労働に就くようになるのが目に浮かぶようだ。
 安倍政権になって以来、日本の国としての品位が落ち続けているが、これでまた、その上塗りをすることになるだろう。
 模役さんではないが、あーいやだいやだ。



 

年賀状紹介

文責 金子恵美子


 年末の一番忙しい時の年賀状書きというのは、負担に感じる時もあるのだが、年一回の挨拶しかできない方もあり、お返事を頂き近況やその思いに触れられるのはやはり嬉しいものだ。
 しかし、歳を重ねてくると、「高齢の折り今年で・・・」というちょっと寂しい年賀状も届くようになる。今年もお二人の方からいただいた。
今年で最後の年賀状、バトンを受け取る決意をこめて紹介したいと思う。
「<新しい歴史はこれから 平和の時代・歴史の出発点にて>。
 昨年の4月27日、板門店での南北首脳会談の際、金正恩朝鮮労働党委員長が記帳した言葉です。含蓄のある希望の持てる決意と受け止めました。朝鮮半島の平和と繁栄の流れはもうあと戻りしないでしょう。
 ひるがえって安倍政権は沖縄の米軍新基地づくりを県民意思を無視して強引に進めています。北東アジアが平和に向かっているのにこれは滑稽な姿にしか映りません。
 また、大阪都にならない「都構想」に騙されてはなりません。政令都市大阪市を解体して財源を取り上げようというもので、百害あって一利なしです。
 万博予定地の夢洲と舞洲は大阪の廃棄物処分地として、かけがえのない海上空間です。50年は処分地として活用できますが廃棄物はどうするのでしょう。何ら政策が明らかでありません。安倍政権と大阪維新の党ではお先真っ暗な未来しかありません。
 変革の為私たちが力を持たなければなりません。今年は行動の年です。老体に鞭を打って頑張ろうと決意しています」。
 「昨年も体調を壊し入退院を繰り返してヨチヨチ歩きの老人でしたが、<怒れる世代の会>の代表の一人として皆様と共に反原発・反戦・平和・改憲阻止で国政選挙には怒りの一票を投じる動きに力を注ぎます。本年もよろしくお願いいたします」。
 Aさん、Mさん今年も様々な現場で共に頑張りましょう。
「北極星 揺るがぬ平和の 指針とす」
「元旦に 獅子舞踊り 見る平和」
「初夢は 平和を謳い 笑う夢」
「寝正月 できる平和を 楽しみぬ」
 国際吟遊詩人さん、今年も沢山の平和の句を届けて下さい。


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