講演 韓国進歩連帯共同代表ハン・チュンモク 「韓国進歩政治の今」
10月16日、京都市東山区の円山音楽堂での「10・16変えよう!日本と世界」と付けられた集会(「反戦・反貧困・反差別共同行動in京都実行委員会」の主催)に参加した。ルポライターの鎌田慧さんが講演し、ドイツ緑の党副代表のベーベル・ヘーンさん、瀬戸内寂聴さんが特別に挨拶に立った。
日本に存在する原発は54基もある。しかしほとんどが定期点検中で、稼動中なのは10基に過ぎない。それも来年中には点検に入り、稼動ゼロという日も遠くない。そうなれば「原発なければ電気はない」という私達に刷り込まれた常識も覆る事になり、「原発がなくても生きていける」ことを多くの人々が実感することだろう。そのためには再稼動させてはならない――この鎌田さんの言葉が心に残った。
9.19明治公園には6万人が集まった。来年2月11日の代々木公園を拠点に全国各地50万人集会、3月11日福島での集会、3月24日日比谷野音での1000万人署名総括集会が予定されている。反原発の「うねり」はこれからである。
もう一つ、反TPPの世論も急速に高まりつつある。野田首相がTPP参加を急ぐのは米国の圧力に屈したからだ、TPPは日本のためにならないばかりか、米国に日本の市場を開放するだけだ、という声が日増しに高まっている。
「野田首相は米国の要請でTPP参加を急ぐのだ」という声が与野党の議員からも公然と言及されるようになった。
野田首相は、11月のオバマ大統領との首脳会談で、TPP交渉参加、武器輸出三原則の緩和、南スーダンのPKOへの自衛隊派遣、米国産牛肉輸入規制の緩和、国際結婚の子の親権に関するハーグ条約加盟、の五つを、「対米公約」として早急に実現すると固めたという。
中東民主革命の連鎖や欧米経済破綻、ウォール街占拠デモなど、考えられなかった歴史的変動が世界で起きつつある。この動きとは無縁と思われた日本でも地殻変動は動き始めている。反原発と反TPPはその前兆となるはずだ。
韓国ソウル市では野党統一候補朴元淳氏が与党ハンナラ党の候補を大差で破って当選した。韓国の闘いを参考にしたいと思う。
主張
11月1日、野田首相は11日に記者会見を行い、そこでTPP(環太平洋パートナーシップ協定への「交渉参加」を表明すると述べた。TPPへの参加は農業分野などから強い反対の声があがっている。そこで野田政権は、まず交渉に参加してどうしてもダメなら降りればよいとして「交渉」への参加を言ってきた。11月にハワイで開くAPEC会議で「交渉」への参加だけでも表明してほしいという米国の要望に応じたのである。なぜ、これほどまでに米国が強く要求し野田政権が「拙速」なまでにこれに応じるのか。TPPとは米国と日本にとって何なのか。
■TPP交渉の中身と手法
TPPは、元来2006年にシンガポール、チリ、ブルネイ、ニュージーランドの4カ国が締結したものだが、昨年、米国オバマ大統領が急にこれを持ち出し、アジア太平洋の自由貿易圏構想として新たに提案したもの。現在、オーストラリア、ペルー、マレーシア、ベトナムを加えた9カ国で交渉が行われている。
この交渉は、後から割り込んできた米国が一方的に提案する24項目を協議する形になっている。米国は、そこで「例外なき関税撤廃」を掲げて物品貿易の関税を撤廃するだけでなく、サービスや金融での障壁撤廃、さらには自国産業を保護育成し監督する制度とか国土や国民の安全のために各国が設定した環境基準や安全基準などまで「非関税障壁」として、その撤廃を目指している。
しかも、それは米国の基準を他国に押し付けるやり方である。例えば、米韓FTAで韓国が飲まされたものだが、相手国が制定した政策によって海外の投資家が不利益を被った場合、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」に訴えることができるというISD(国家と投資家の間の紛争解決手続き)条項などである。
TPPは実質、「日米FTA」だと言われる。参加9カ国に日本を入れたGDPの比較では、アメリカが約7割、日本が約2割で日米で全体の9割を占めるのであって、米国にとっては日本が参加してこそメリットもあるというのである。
すでに存在していた小国間の「無関税協定」を利用して、これを「非関税障壁」まで撤廃するものにし、そこに日本を引き込む手法は強引かつ巧妙である。そこまでして、米国は一体、何を狙っているのだろうか。
■日本の対応 「開国」論議
TPP賛成論者は、「開国か鎖国か」というふうに問題を立てる。「思い切って開国しないと、この国はおしまいだ」(岡田民主党幹事長)、「現状維持では、日本の明日はない」などと。「開国」という言葉は、これまで何回も言われてきた。米国は新自由主義の立場から日本のさまざまな制度や仕組みを「障壁」と見なし、90年代から、「門戸開放」のための「構造改革」を要求し「年次報告書」でその実行状況を検閲してきた。
その結果日本はどうなったのか。一言でいえば格差が拡大したということだ。構造改革によって、国家が果たしてきた産業の育成保護政策、収入の不均衡を是正し再分配をはかる税財政政策をはじめ、雇用、地域振興、公共事業、医療、教育にわたる諸制度が新自由主義的に改造され、その結果、所得格差、地域格差、企業格差がひどくなり、それによって需要は縮小し、経済が循環しなくなり、「失われた10年、20年」を招来した。
それをさらに開国してどうなるのか。今、TPPに参加すれば、米国に要求されるとして論議されているものだけを見てもひどいものである。
コメの自由化要求。それは、日本農業を壊滅させる。今、世界的な食料危機が言われているのに、それでよいのか。そこに競争力をもつ外資系企業が入ってくれば日本の食料安保は完全に米国に牛耳られる。食品の安全でも、BSE牛肉検査の安全基準が低められ遺伝子組み換え食品が野放しに輸入されることになる。
公共事業への外国企業の参入基準を低めよという要求。それは、東日本大震災での復旧作業にも関連してくる。復興費用は低く見積もっても10兆円。米国はここに米国企業を参入させようとしている。政府調達での国内産品優先基準撤廃の要求も同様の意図からだろう。
医療では、外国医療機関の参入を認めろという要求。医師会などは外資系医療機関が入ってきて、「混合診療」になり、地方の中小医療施設が打撃を受け医療格差が拡大すると懸念している。
弁護士、医者などの国家資格を相互に認め合おうという要求も、米系企業が日本に入った場合、米国の医者や会計士、弁護士などが日本で仕事できるようにするためだ。今は浮上していないが、米国は日本の建築基準も低めろと言って来ている。地震国日本では耐震基準が高く設定され、そうした技術・ノウハウ、設計士を持たない米国企業には不利だからである。
また米国は、郵政の株を国がもっていることも問題視している。国が株主である郵貯との競争が不平等になるというのだが、郵貯400兆円を米国も使えるようにせよということでもあるだろう。
また労働力市場の開放も要求されそうだ。これは財界が望むところだろうが、国内雇用を狭める。
他にも思いもかけない分野での「規制撤廃」が要求される可能性がある。TPPとは、日本の新自由主義改革をさらに深化完成させて日本を米国の属州のようにし、その持てる力を最大限かすめ取り利用するためのものなのだ。
■米国覇権戦略の一環としてのTPP
野田政権が誕生した直後の9月6日、米国のキャンベル国務次官補が来日して民主党の前原誠司政調会長などと会談し、沖縄・米軍普天間基地「移設」問題などとともにTPP問題で協議した。その記者会見で、彼は「アジア太平洋地域のさまざまな問題を踏まえて同盟を前進させ、緊密な協力関係をつくらなければならない。われわれはこの文脈にもとづきTPP問題で協議した」と語っている。その後、13日に岡田民主党幹事長が都内で講演し、TPPは米国の強い要求であり、これに参加しなければ日米安保に影響が出ると述べながら、「米国は、これをアジアの時代に対応するツール(道具)と考えている」と述べている。
以上のことは何を意味するのだろうか。
ブッシュの単独主義を批判しながら登場したオバマ政権は、米国は世界の諸問題に関与することをやめず、そこでリーダーシップを発揮するという「関与」政策を掲げた。そして、アジアにおいては「日米基軸」でそれを行うとしてきた。まさにキャンベルらの言っていることは、アジアを日米基軸で押さえる覇権戦略の文脈の中でTPPを捉えなければならないということだ。
覇権国家米国は、リーマンショック以来、その地位を低下させたにもかかわらず、あくまでも覇権国家の地位を失うまいと躍起に策動している。とくに「アジアの時代」と言われるほどに経済発展したアジアでの覇権維持は死活問題である。そこで軍事外交的には、南シナ海問題を利用して中国とASEAN諸国を対立させる「新分断外交」であり、経済的には米国が主導できる「アジア太平洋自由貿易圏」の形成なのである。
すでに、アジアでは東アジア共同体構想が進んでいる。それはASEAN諸国が主体になり、その参加資格としてTAC(東南アジア友好協力条約)の締結を義務づけている。TACは、大国の干渉を排除し各国が互いの自主権を尊重しながら協力して平和と繁栄を目指そうという脱覇権のバンドン精神を引き継いだものだ。
米国はこれに神経を尖らせてきた。地域外の国である米国が除外され、脱覇権の地域共同体では米国の覇権が脅かされるからである。
まさにTPPとは米国にとって、崩れ行く覇権を日本の経済的軍事的な力を動員して必死で押しとどめようとするためのものである。
しかし、もはや覇権が通用する時代ではない。中国、インドも参加せずわずか9カ国で枠組みを作ってもTPPに参加するような国が他に出るとも思えない。ウマラ左翼政権が誕生したペルーの脱退が囁かれるなど瓦解するのが落ちだ。それにもかかわらず、日本がTPPに参加し米国覇権を支え、その下で生きようとするなど余りに時代遅れで愚かしい。
そういう古めかしい思考方式とは決別して、日本を第一にして、この国をどうしていくのかを考えていくべきなのだ。TPPはその格好の材料を提起してくれる。この議論を国民的な議論として大いにやり、その中で古い覇権の生き方ではない脱覇権の新しい日本の生き方が浮かび上がってくるのではないか。そのことへの期待は大きい。
研究
米国の覇権は終わった。もはやこの時代認識に異論をはさむ人は少ない。だが、終わったのは単に米国による覇権だけなのか。覇権自体が通用しなくなっている今日の現実は、覇権時代そのものの終焉を告げているのではないだろうか。
■もはや覇権自体が許されない
今や覇権は通用しない。なぜなら、覇権自体、もはや許されなくなっているからだ。
イラクやアフガンでの反テロ戦争路線の破綻はその象徴だ。「民主化」を武力でもって他国に押しつける米国の横暴は、世界の面前にそのような行為自体の惨めな破算をさらしている。
各種国際機構を通し「国際社会の意思」として押しつけられてきた米国など覇権国家の意思も見る影もない。環境など国際会議では、発展途上国からの反論が百出し議決先送りが日常化しており、国連などでやっと決められた朝鮮など反覇権国への制裁措置も一向に実施されなくなっている。
それにも増して決定的なのは、脱覇権・主権尊重の地域共同体の拡大発展だ。東アジア共同体など地域共同体の域内交易重視、共通通貨形成への動きが強まっており、地域共同体毎の独自の安保構築への動きも促進されている。
■進行する覇権の内部崩壊
覇権がなぜ通用しないのか。それは、覇権自体の内部崩壊にも因っている。腐敗、衰弱した覇権国家の言うことを聞く者は誰もいない。
何よりも、泥沼の経済停滞と産業空洞化など、経済の弱体化だ。恐慌から立ち直れず、お先真っ暗な泥沼不況が継続する一方、産業の空洞化が一段と進む覇権国家共通のこの現象が、米国を最終消費地とする世界経済の帝国循環を破壊し、ドル体制の崩壊を目前の現実にしていっている。
そうした中、深刻なのは政治の腐敗と衰弱だ。日本における「短命内閣」の連続はその象徴だと言える。欧米覇権諸国における国民の政治離れも著しい。米国史上始まって以来の今回の「ウォール街占拠」やギリシャなどヨーロッパ諸国で頻発する若者たちの反乱、大衆反乱は、1%のため99%を犠牲にする古い腐敗した政治に対する怒りの爆発だと言うことができる。
そして、軍事の衰退だ。最強と言われる米国の軍事費は世界の軍事総予算の40%を占め、イラク、アフガンには、数兆ドルの巨費が投入された。だが,米軍は勝てなかった。軍隊内自殺者が急増し、軍事の民間委託の割合が拡大する米国軍事の実情は、軍事の傭兵化で滅びたローマ帝国とその覇権の内部崩壊を彷彿とさせる。
問題は、なぜ覇権そのものが許されなくなり、覇権の内部崩壊が進んでいるのかだ。その要因解明によってこそ、覇権時代の終焉にともなう新しい時代開拓の道も見えてくるのではないだろうか。
■覇権を許さない意思と力の強まり
覇権が許されなくなったのはなぜか。それは、当然のことながら、覇権を許さない意思と力が強くなったからだ。
米軍のイラク侵攻当時、「『民主化』は与えられるものではない。自分たちで勝ち取るものだ」と、「民主化」の名による米国の侵攻に反対していたイラクや中東諸国の青年をはじめとする大衆の声は、その現れだと思う。
そして重要なのは、そのような一人一人の大衆的な意思と力が、自国、自民族への支配と隷属に反対し、それを許さない意思と力、あえて言うなら、「愛国自主」の意思と力になっていることではないだろうか。
そうした大衆的で民族的な意思と力は、今日、反米の旗を公然と掲げ、ペルー新政権など域内反米政権の連続的な誕生を促す南米諸国連合など、主権尊重の地域共同体に結束され、覇権を許さない決定的な力となっている。東アジア共同体形成を主導するASEAN(東南アジア諸国連合)の大国の覇権を牽制する対米、対中国政策の妙なども、その典型だと言えるだろう。
一方、「1%の富裕層ではなく、99%のための民主主義」を求める先進国・デモの波は、「アラブの春」をもたらした親米独裁反対の大衆的うねりと連動し、覇権国家のあり方をその内と外から突き崩す大衆的力に成長する無限の可能性を秘めている。エジプトの4月6日運動など米国が育てた運動が、ソーシャルメディアでつながる新しい運動、新しい政治として、米国の覇権、そして覇権そのものの息の根を止めるようになる日は決して遠くないのではないだろうか。
■何が覇権を内部崩壊させているか
覇権国家の政治や経済、軍事など覇権内部の腐敗と停滞、衰退は、覇権そのものが内包する矛盾に因っている。
今日の覇権、資本主義、帝国主義が産んだ覇権の根本には弱肉強食の自由競争がある。弱肉強食の自由競争を通して独占資本が形成され、それに基礎して帝国主義列強による覇権が産まれた。
この弱肉強食の自由競争に基づく帝国主義の覇権は、米国による覇権に至り、国と社会のすべてに競争原理を導入し、共同体原理を駆逐しながら、国と民族自体を否定するまでになった。集団そのものを否定し、個人とその競争を絶対化する新自由主義、そして世界経済を単位に国境なきヒト、モノ、カネの流通と競争を至上とするグローバリズムによる覇権の極致だ。
国と民族の主権、自主権ばかりか、国と民族そのものを否定するこの覇権の極致が産み出したもの、それこそが覇権自体の内部崩壊だ。
今日、覇権国家の政治の腐敗と衰弱は、その本質において、国民の幸福、国と社会の利益のためにつくす政治本来のあり方のこれ以上にない崩壊だと言うことができる。国民ではなく米国と大企業の顔ばかり見、日本独自の路線と戦略を持つことなく米国の言いなりに行われる政治、このどうしようもなく腐敗し衰弱した古い政治はどこから産まれたのか。その根底には、国と民族の否定があると思う。国と民族が頭から無くなった政治家にあるのは、自分個人の利益だけだ。自分しか知らない政治家に、日本と日本国民のため、米国の圧力に抗し、身体を張ることを期待するなどできないではないか。
「失われた10年、20年」と言われる日本経済の停滞、それと瓜二つの停滞に見舞われている米国経済の「日本化」など、覇権国家共通の経済停滞を見たとき、そこに顕著なのは、国民経済の甚だしい不均衡だ。所得や地域、企業や産業になどに見られる著しい格差の拡大とそれによる経済のあらゆる面からの不均衡の深まりは、ヒト、モノ、カネの流れの停滞と富裕層や大都市、大企業、輸出産業などでの膨大なカネ余りとその投機市場への流入、それにともなう穀物や資源、金などの高騰、等々と途方もない矛盾を噴出させている。
これを克服する道はただ一つ、経済の基本単位である国民経済を重視し、国民経済各部門の格差と不均衡を正す経済・財政・金融政策を断行し、国民経済の均衡的発展を図っていく以外にない。だが、国と民族を否定する弱肉強食の自由競争が野放しにされ、それを規制する国家的措置がまったくとられない新自由主義、グローバリズムのもとにあっては、危機の深刻化に歯止めはかからない。
国と民族否定の禍は、軍事の衰退に顕著だ。国と民族が否定されている中で、そのために命を懸ける軍人、兵士がいなくなり、自らの精神的支柱を失って自殺や麻薬に走る軍人、兵士が増えるのは自明の理だ。そうした中広がる軍事の民営化は現代の傭兵化に他ならない。
覇権国家の政治、経済、軍事に共通する衰弱と停滞、そして衰退は覇権そのものの内部崩壊に他ならず、それは覇権の極致である新自由主義、グローバリズムから産まれた国と民族の否定とそこまで至った弱肉強食の自由競争に因るものだ。
これまで見てきた覇権終焉の要因は、何を物語っているか。それは、覇権時代に代わる新しい時代がどのようなものになるか、その姿ではないだろうか。それは、何よりも、自らの国と民族を愛し、その主権、自主権を何よりも大切にしながら、各国が互いにそれを尊重するものに、そして、支配ではなく自主が、競争ではなく協調が国と社会の原理になるようになるのではないだろうか。それは、すでに新興国や地域共同体に高まる愛国自主やウィンウィンの気運、そして、つながりや絆を大切にする風潮の広がりに見ることができるのではないだろうか。
講演 韓国進歩連帯共同代表ハン・チュンモク
2012年に大統領選挙と国会選挙がある韓国で、自主・民主・統一の旗を掲げ、保守勢力と鋭く対峙しながら奮闘する韓国進歩連帯はソウル市長選勝利の原動力となった組織だ。その共同代表であるハン・チュモク氏の講演会があった。韓国民主闘争の生々しい報告を紹介したいと思う。
※ ※ ※
韓国進歩連帯が全国的な大衆組織として結成されてきた歴史的背景について少し話したいと思います。進歩運動の歴史を遡りますと1945年、解放直後進歩勢力が圧倒的な勢力を占めていました。ところが解放後進駐してきた米軍と米軍によって樹立された李承晩政権、そして6・25の戦争を経験する事で百万人の人々が虐殺されました。アカ攻撃によって多くの進歩勢力が根絶やしにされるくらいの壊滅的な打撃を受けました。そして3代に渡って軍事独裁政権が続き、民主進歩勢力は厳しい極限的な弾圧を受けてきました。
ご記憶の方もおられるかも知れませんけれども統一革命党事件、人民革命党事件がでっち上げられまして、首謀者とされる人たちは死刑場の露と消えていきました。数百件に登る捏造事件と数万人に上る弾圧を受けた人々と虐殺される過酷な状況を強いられてきました。私のようなまだまだ未熟な人間でも民主化闘争の過程で5回も投獄されました。そして皆さんもご存知と思いますが日本やアメリカからの留学生がスパイとしてでっち上げられて獄中生活を強いられました。私の記憶では日本からの留学生だけで100名以上の人が獄中生活を強いられたと記憶しています。そして光州大虐殺によって数千名といわれる人々が虐殺されました。歴代の独裁政権が続く過程で虐殺と投獄が日常的なものとして強いられてきました。
■弾圧に屈しない強力な組織を
そういう状況の中でそのような弾圧に対峙することのできる強力な組織をつくらなければならなかったのです。すべての組織運動は非合法下で行わざるを得ませんでした。その過程で87年の6月抗争という数百万の市民が立ち上がる大闘争があったのです。その民衆抗争を通じて独裁政権を打倒し民主政権を樹立する新しい次元を切り開いたわけです。そのような弾圧を乗り超えて各界各層の要求を網羅し実現するための大衆組織が建設されてきたのです。そして87年の6月民衆抗争以降、労働者の組織、農民の組織、青年学生の組織、教職員の組織が、各階各層を網羅した組織がぞくぞくと建設されていきました。そして全国各地において地域ごとの連帯組織が建設されていきました。
85年に結成された在野の民主人士、宗教人を中心にした民統連という組織が建設され、89年には全民建という広範な組織体に改変されました。1991年には民主主義民族統一全国連合という大衆組織が建設されます。その全国連合が2007年に発展的に改変されて出来たのが私がいま所属している韓国進歩連帯です。私はこの民主主義民族統一全国連合で11年に渡って執行委員長の役割を担いました。
今韓国進歩連帯は青年学生団体、女性団体、民主労働党など各階各層の団体が網羅されています。50以上の地域で地域支部が結成されています。もっとも残念な事は、民主労組が正式に加盟していないことです。そして民主労組の指導部と協議をしながら民主労組を含めた闘争体を作るためにいま準備を重ねているところです。今の時点ではその共同闘争体の名前として「民衆の力」というふうに決定しています。11月13日、労働者の大きな大会がある日ですが、その前日の12日の前夜祭で結成を発表したいと思っています。その「民衆の力」が結成されれば進歩連帯、民主労組を始めとしたほとんど全ての大衆団体を網羅する組織体になるだろうと思います。
2012年には総選挙と大統領選挙が予定されていまして反李明博、自由主義反対の闘争を全国民的な国の規模で推進しなければならないわけですが「民衆の力」が大きな役割を果たしてくれるだろうと思います。4月11日には国会議員選挙、12月19日には大統領選挙があります。2012年は韓国にとっては民主改革勢力が勝利するのか、守旧保守勢力が勝利するのかの、分水嶺となる年になります。
■2012年に向けた進歩陣営の統合
2012年の闘いを勝利するために進歩陣営では二つの課題を設定しました。その二つの組織方針が成功した上で今日皆様の前に来たかったわけですけれども残念ながら失敗した状況の中で来ざるを得ませんでした。私達が勝利するためには民主改革勢力と進歩勢力が一つに団結して守旧保守勢力と1対1の対決抗争をすることによって勝利できると方針を立てました。そのような努力の一環としてこの1年間に渡って進歩陣営の統合のために粘り強い努力を行ってきました。民主労働党と民主労働党から脱退した進歩新党をまず統合させた上で国民参与党も統合させるという進歩大統合を実現させようという方針を立てて努力してきました。民主労働党と進歩新党との統合問題は進歩新党の党大会で否決される事で失敗してしまいました。その結果、進歩新党は分裂しまして多くの人が進歩新党を脱退して統合連帯という新しい団体を結成しました。進歩新党に残った少数の人々は一切の党運動には参加しない独自路線を貫くと見られています。そして民主労働党は9月25日の党大会で国民参与党と進歩新党を脱党した統合連帯との統合を議決しようとしたけれども否決されてしまいました。私達進歩連帯は民主労働党と緊密に論議しながら再び民主大統合を実現するために闘っていく決意でいます。
その中で4+4と呼んでいるんですけれど4つの政党と4つの代表的な市民社会団体が協議をして選挙に向けた方針を確定するつもりです。最初の4つというのは4つの政党を意味します。民主党、民主労働党、国民参与党、創造民主党の4つの政党を意味します。4つの市民社会団体とは私達の進歩連帯、希望と代案、進歩統合、もう一つ名前が出てこないですが、この4つです。2012年に政権交代、13年に希望の時代を開くということを目的にした元老を中心にした元老円卓会議という組織も作られました。元老円卓会議というのは社会の各階各層を代表する元老達が局面局面で集まる事によって全体の連帯と統合を強化するために重要な議論をしていく重要な組織です。
■共同の公約つくり
選挙を共同で戦う為には共同の公約を持たなければならないという観点で共同の公約つくりに向けた論議を続けています。具体的に言いますと非正規職問題、給食無償化問題、大学の授業料の半額問題はどう考えるのか、一つ一つの問題について共同の公約つくりの議論を重ねています。さらには6・15南北共同宣言についてはどう考えるのか。金剛山観光は、ケソン工業団地は、南北の経済協力はどう展望するのか。そういったことについても共同の公約つくりの協議を重ねています。FTA問題について、国家保安法の問題について、米軍犯罪についてどのように考えるのかなどについても共同公約つくりの議論が必要です。もちろん私達進歩陣営の要求が100%通る事はないと思います。けれども最大公約数として間違った方向に行かないように公約つくりを推進したいと思っています。
共同の公約つくりを進めるとともに候補の一本化、単一候補のためのルールつくり論議をしています。最も大きな野党である民主党がどの程度まで譲歩できるのかということが重要な鍵となっています。譲歩の水準を巡る議論について私達進歩陣営がまず統合する事ができれば非常に話は進みやすくなります。進歩陣営が大統合に成功するなら民主党と統合した進歩陣営の二者で協議すれば決定する事が出来るわけです。進歩陣営の統合が上手くいかなかった場合、民主党とたくさんの政党が協議しなければならないので候補の一本化のルールつくりは非常に難しくなるでしょう。このように中央における論議は非常に難しい難題を含んでいるのでどう乗り越えていくのかについて私達は議論を重ねています。
■強力な大衆運動を展開したい
2012年に守旧保守勢力から権力を奪還するために選挙運動を熱心にしなければならないが同時に強力な大衆運動を展開しなければならないだろうと考えています。選挙だけで闘うならば私達は守旧保守勢力に勝てないと考えます。守旧保守勢力はテレビを始めとした言論機関を掌握しています。財閥を通して莫大な選挙資金を保持しています。そして官憲選挙を行うことの出来る力も有しています。従って選挙運動だけを行うだけなら私達は勝つことは出来ないだろうと思います。労働者、農民、都市市民を始めとした民衆達が団結して大衆運動を展開する事によって反李明博の機運を高める事によって大衆の力を政治の場に引き出す事ができると思います。大学生達が授業料の半額を求める大衆的な闘いを展開し、青年たちが失業をテーマに大衆的な闘いを展開する事によって選挙に有利な局面が開かれるだろうと思います。保護者達は学校給食の無償化問題で大衆運動を展開し、お年寄り達は医療費の公正な適用を課題に運動を進めていくことで各階階層の高揚を引き出す事ができると思います。このような戦いに勝利するためには政党団体だけでは無理だと、大衆運動を指導する強力な大衆団体が必要だという認識を持っているわけです。労働者、農民、貧民、青年学生といった各階各層の闘争を指導する司令塔があってこそ大衆運動の高揚を勝ち取る事ができ、選挙に勝利する事ができると思っています。
■インターネット管理の国際化を
ロシアア情報技術逓信相イコリ・シェコレブは、インターネットの管理を各国の国家利益を代弁できる国連の国際電気通信連盟のような専門機構に譲渡すべきであると述べ、次のように語った。
今は、インターネットの管理機能を米国のICANN会社が遂行している。その努力については相応の評価をするが、インターネットは世界経済に大きな影響を与えており、その膨大なネットの情報資源の管理を一国の私企業が行うのは適当ではなく、世界各国が集まって政府級の討議を行えるような適当な機構が必要だと考えている。
バーチャルな空間には国境が無いかもしれない。しかし実際の生活では国境が存在している。インターネット上でおこなわれる国境を越えた違法行為と闘うには、インターネットを国際的に管理する機構と規則を作らねばならない。そのために最もふさわしいと思われるのは、国連の国際電気通信機構だ。
(イタルタス通信)
■中国―ASEANセンターの創立
ナンニン(南寧―広西チワン族自治区)で開かれた第8回中国―ASEAN博覧会で、この博覧会のために設置された「中国―ASEANセンター」の秘書長が明らかにしたところによると両者の共同発起によって創立された、このセンターを今年の11月から正式な機構として創立させるということだ。
このセンター創立は、中国―ASEAN諸国間の全方位的な協力関係を促進する上で大きな役割を果たすだろう。センターは、両者間で行われるさまざまな活動の中心的な調整機構になるであろうし、中国とASEANの企業や人々に、お互いの商品、産業、投資機会、観光事業、文化、教育などを紹介し宣伝するものになる。
また、センターは中国―ASEAN両者の産業界の人士と人々に貿易、投資、観光、教育に関する総合的な情報を提供する場所になるであろうし、貿易及び投資分野に対する研究を行うようになる。
(新華社通信)
■中朝親善の継承拡大
政治分野では頻繁な交流が行われている。経済分野でも実効性のある協力関係が拡大している。2010年の貿易額は34億7000$にのぼり、09年に比べて29・6%の伸びであり、史上最高を記録した。2011年1月から8月までの貿易額は、すでに36億4000万$に達し前年の同じ時期に比べて82・2%の増加である。
「中朝ラソン経済貿易地帯」と「黄金坪・威化島経済地帯」の共同開発事業が進んでおり、中国の大規模な投資対象であるヘサン青年鉱山がすでに創業を始め、新しい鴨緑江橋の着工式もおこなわれた。人文分野での交流も盛んに行われるようになった。
100名で構成される中国と朝鮮の青年代表団をはじめ、各分野の代表団の定期的な相互訪問が行われている。「毛岸英」のような中国のTVドラマが朝鮮で放映され好評を博し、朝鮮の芸術団による朝鮮版歌劇「紅楼夢」などが、中国で巡回公演された。
(人民日報)
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